ハーブのルーツ
今日ハーブとは、多くは香りがあり、暮らしに役立つ植物をまとめて呼ぶ総称です。
多くは地中海沿岸の原産の植物で、古くからその花、葉、茎などにある薬効や効果が生活の中で利用されてきた植物です。
一方、スパイスと呼ばれるものには亜熱帯や熱帯、温帯原産が多く、樹皮、根、種子、果実、花蕾などを乾燥させて使います。
フレッシュで用いるとハーブ、ドライはスパイスとされることもありますが、巌密に分けられてはいません。
ハーブのルーツは遙か古代まで遡り、ハーブ〈HERB〉の語源はヘルバ〈HERBA〉、「草」という意味のラテン語だと言われています。
かつての祖先たちが生活の中で傷を負ったとき、手近な草の葉を当てたら早く治った経験や、食料の肉や魚を近くに生えていた草の葉で包んだら、保存性がよかったり、臭みを消してくれ、おいしくなって食べられたというような偶然の出来事が言い伝えられて、草の持つ抗菌、防腐、防臭、香りづけなどの効果の知識が広がり、暮らしにハーブを利用するようになったと考えられます。
私たちの祖先は一万年ほど前から、すでに植物を栽培していたという形跡が見られます。
古代ローマ時代の人々は、バラやカーネーション、ユリなどの香りのよい草花を栽培した記録がありますし、没薬、シナモン、サフランなどの香料で、暮らしに香りの彩りを添えていました。
約4000年前のエジプトではハーブガーデンが作られており、古墳の壁画にもハーブの絵を確認することができます。
中世ヨーロッパの修道院では薬草園を作り、薬用となる植物を栽培していました。
また、一般にも日常的にハーブを用い姶め、イギリス・エリザベス朝のマナーハウスでは、スティルルームと呼ばれる部屋で、庭から収穫したハーブでポプリやタッジーマッジー、ポマンダー、サシェなど、さまざまな香りグッズを作って利用していました。