果樹の「土」と「水」と「肥料」
【土】
果樹は同じ場所で長年生育するので、土層が深いほど育成や収穫量、品質がよくなります。
土層が深ければ、それだけ土の中に含まれる水分や空気の量が多くなり、根の活動が活発になるからです。
苗木栽培にあたって、土層が浅い時は、客土(植物が
育ちにくい土に良質の土を混ぜて土質をよくすること)するか、
掘り起こして、少なくとも40〜50cmの深さまで耕します。
土質がやせている場合は、植え穴の底に堆肥や鶏糞・牛糞、枯れ葉、台所のくずなどを混ぜ入れます。
【日光と水】
すべての果樹が日光を好み、日当たりのよしあしが収穫量や品質を左右します。
特に落葉樹は日陰では結果しませんし、一本の木では日当たりのよい南側や外側になった実はおいしくなります。
日当たりと風通しをよくする剪定作業が欠かせないのは、そのためです。
果樹が乾燥による被害を受けるのは7〜8月にかけてです。
枝葉は梅雨の長雨で軟弱に徒長し、根は地表近くに集中して被害を受けやすい状態になっているところに、急に強い日差しを受けるためです。
葉がしおれたり、巻いたりする兆候が出たら、すぐにたっぷりと水やりをしてください。
また、3〜5月の乾燥は、開花や結実に影響するので、乾かさないように水やりし、根元をマルチングするなどして乾燥から守るようにします。
【肥料】
果樹への施肥量は、土層の深さ、土の中の腐植質などの養分の量、酸性土の強弱、母岩(鉱物を含む岩石)、気象条件などによって異なるので、一定の基準というものは決められません。
下記の施肥量は、各地の慣行例を参考に、また、家庭果樹の条件も考慮して、算出した数値ですので、参考にしてください。
ウンシュウミカン樹齢: 10年
N(窒素): 340g
P(燐酸): 170g
K(加里): 220g
化成の施肥量: 2.2g
元肥: 2〜3月 50%
追肥: 5〜6月 30%
お礼肥: 11月 20%
ウンシュウミカン樹齢: 15年
N(窒素): 450g
P(燐酸): 280g
K(加里): 340g
化成の施肥量: 3.0g
元肥: 2〜3月 50%
追肥: 5〜6月 30%
お礼肥: 11月 20%
ビワ樹齢: 10年
N(窒素): 300g
P(燐酸): 200g
K(加里): 260g
化成の施肥量: 2.0g
元肥:
2月 20%
追肥:
5月 30%
お礼肥: 8〜9月 50%
ビワ樹齢: 15年
N(窒素): 400g
P(燐酸): 230g
K(加里): 300g
化成の施肥量: 2.6g
元肥:
2月 20%
追肥:
5月 30%
お礼肥: 8〜9月 50%
リンゴ樹齢: 10年
N(窒素): 530g
P(燐酸): 260g
K(加里): 330g
化成の施肥量: 3.5g
元肥: 2〜3月 70%
追肥: 7〜8月 30%
ナシ樹齢: 10年
N(窒素): 600g
P(燐酸): 360g
K(加里): 480g
化成の施肥量: 4.0g
元肥: 11〜12月 70%
追肥:
7月 20%
お礼肥:
9月 10%
ナシ樹齢: 15年
N(窒素): 800g
P(燐酸): 480g
K(加里): 600g
化成の施肥量: 5.3g
元肥: 11〜12月 70%
追肥:
7月 20%
お礼肥:
9月 10%
カキ樹齢: 10年
N(窒素): 500g
P(燐酸): 350g
K(加里): 450g
化成の施肥量: 3.3g
元肥:
12〜1月 70%
追肥:
7月 30%
ブドウ樹齢: 10年
N(窒素): 500g
P(燐酸): 300g
K(加里): 400g
化成の施肥量: 3.3g
元肥: 2〜3月 70%
追肥:
7月 15%
お礼肥:収穫後 15%
モモ樹齢: 10年
N(窒素): 260g
P(燐酸): 160g
K(加里): 260g
化成の施肥量: 1.7g
元肥: 12〜1月 70%
追肥:
6〜7月 15%
お礼肥:
9月 15%
モモ樹齢: 15年
N(窒素): 330g
P(燐酸): 200g
K(加里): 330g
化成の施肥量: 2.2g
元肥: 12〜1月 70%
追肥:
6〜7月 15%
お礼肥:
9月 15%
ウメ・スモモ樹齢: 10年
N(窒素): 300g
P(燐酸): 180g
K(加里): 250g
化成の施肥量: 2.0g
元肥: 11〜3月 70%
追肥:
7〜8月 30%
クリ樹齢: 10年
N(窒素): 300g
P(燐酸): 180g
K(加里): 290g
化成の施肥量: 2.0g
元肥: 11〜12月 80%
追肥:
8月 20%
クルミ樹齢: 10年
N(窒素): 450g
P(燐酸): 240g
K(加里): 380g
化成の施肥量: 3.0g
元肥: 11月 70%
追肥:
6月 30%