サクラの概略
サクラ 桜
バラ科サクラ属 落葉広葉樹 高木
【別名】 ソメイヨシノ、ヤマザクラ、エドヒガン
【購入時の目安サイズ】 2.0m
【購入時の目安価格】 苗木@1,500円、成木@15,000円
【将来的なサイズ】 幅:8〜20m、 高さ:10〜25m
【花期】 2〜4月 (品種による)
【開花日数】 7日
【原産地】 日本
【適地】 沖縄〜北海道 (品種による)
【土壌条件】 特に選ばない
サクラの特徴
古くから歌に詠まれるなど、日本人に愛されてきた桜。
サクラは日本を象徴する国花として外国にも知られ、国内各地に桜の名所があるほどです。
一般的に「サクラ」とはバラ科サクラ属サクラ亜属の総称で、日本には「ヤマザクラ」や「エドヒガン」などの自生種、変種を含め100種ほどの品種が存在します。
サクラは生長するとかなり大木になり、大気汚染や害虫に弱いので家庭で育てるのは難しいとも言われていますが、庭で楽しめる品種もあります。
小高木のマメザクラは、若木でもよく花をつけるので、庭木としても人気があります。
また、樹形がコンパクトで花色が優れえいるオカメや、その他、ヨコハマヒザクラ、ケイオウザクラ、トウカイザクラ、八重紅枝垂れ、天の川などもコンパクトで育てやすい種です。
鉢植えにしてベランダで楽しむこともできます。
サクラは都市のスモッグや塵、亜硫酸ガスなどには弱いので、都市公害の激しい過密地域に植えることは不適切です。
しかし、どうしても桜を植えたいときは、その中でも、都市公害に比較的強いオオシマザクラを選ぶようにしてください。
サクラは下記のような楽しみ方があります。
@広い庭の景観樹 (シンボルツリー)
広い芝生地なら1本植えの独立樹でも良いし、和風庭園なら山桜を黒松、赤松、杉などと組み合わせてもよいでしょう。
A建物の添景樹
建物が一つぽつんと立っているだけで、さびしい感じのときは、建物のそばにサクラを植えてアクセントをつける方法があります。
B記念樹
学校の入学や卒業、会社の新社屋や新工場の落成などの際に、比較的小型に育つ樹種を記念樹として植えます。
C盆栽
マメザクラ、ミネザクラなどの小型種は、盆栽として栽培することができます。
作業・お手入れアドバイス
植え方:
サクラは一般的に年とともに非常に大きくなる木ですので、栽培する場合は最初からそれを計算して広い用地を確保しておくか、それが無理な場合には、最初からあまり大きくならない樹種を選ぶようにします。
たとえばソメイヨシノを自然仕立てにした場合、高さと枝張りが10m以上にもなります。
植える場所:
サクラは日当たりを好み、日陰や半日陰では花が咲きませんし、生長すると大きくなるので広い用地を必要とします。
サクラは大気汚染や潮風に弱く、根も弱いなど非常にデリケートな樹です。
サクラは乾燥を嫌う樹種ですから、適当な湿度を保てる土壌で肥えた土地を選ぶようにします。
剪定やお手入れ:
サクラの剪定は、「桜を切るバカ、ウメを切らぬバカ」と言うように、桜は落葉性の樹木の中でも特に萌芽力が弱いので、整枝などするとその後、なかなか芽が吹かなくなります。
特に樹齢30年以上のものでは、この傾向が強まりますので整枝はなるべく若木のうちにしておくようにします。
また、移植は成木になってからでは難しいので、必ず若木のうちにします。
サクラは癒合性が悪く、枝などを剪定した後、傷口から水分が染み出して乾燥しないため、切り口になかなか肉があがってきません。
そのため腐朽菌がついて胴枯病を起こし、そこから雨水が流入したりして樹木が腐敗します。
そこで、サクラを剪定したら、切り口から病原菌が侵入しないように、切った部分にはコールタールや殺菌剤入りの癒合剤を塗ります。
ホルマリンなどで消毒したあと、接ぎろうやペンキを塗ります。
桜は枝や幹の枝別れする性質が非常に強く、放置しておくと1.5〜3mごとぐらいに分かれていき、幹と枝の区別がつかなくなり、枝の広がりも野放図のままになってしまいます。
そこで最初から主幹や必要とする枝を決めて、それ以外は若木のうちに思い切って剪定するようにします。
「サクラを切るバカ」というのは成木になってからのことです。
注意する病害虫:サクラはガン腫病や天ぐ巣病などが発生します。
サクラの葉にはアメリカシロヒトリ、モンクロシャチホコ、マイマイガなどがつきますので、なるべく初期に補殺し、被害が激しい場合は薬剤で防除するようにします。
サクラの系統と主な品種
一般住宅ではふつう広い土地の確保が困難なので、樹高と枝針がいずれも5〜6mという比較的低規制の樹種を選ぶようにします。
住宅庭園向きの樹種は下記のようなものがあります。
ヒガンザクラ (彼岸桜)
エドヒガン群に属し、淡紅色の美しい小輪の花をつけ、3月中旬ごろには花が咲く、早咲き系の種類。
ヒガンザクラの花は茎の頂部に数個つき、小さい枝1本でも花と形が美しいので切り花としてもよく用いられます。
ヒカンザクラ (緋寒桜)
和名で「緋」の寒桜と書くように、花は桜の中で最も赤い色をしている。
形は釣り鐘状でガクが太くて短いのが特徴。
この樹種は暖地性の桜で、関東から西の地域なら育成する。
花はふつう3月〜4月にさきますが、鹿児島では旧正月に咲くので「元日桜」ともいいます。
グジザクラ (富士桜)
富士箱根地方や房総地方に多く育成している種類で、別名マメザクラ(豆桜)と呼ばれます。
樹形は名前の通りに小型で、高さは4〜5mほどになります。
花や葉も小さく、果実は楕円形で黒紫色です。
花期は4〜5月です。
チシマザクラ (千島桜)北海道や本州北部の高山地帯に生育する種類。
南千島の択捉島産というのでこの名前が付いている。
花は直径2cmぐらいの淡紅色か白色で、かすかに芳香があります。
花期は大変遅く、5〜6月ごろです。
フユザクラ (冬桜)花は白色または淡紅色です。
フユザクラの名があるが、花期は10〜12月で、咲き残りが4月という面白い咲き方をする。
【一般的な栽培に適した樹種】
ソメイヨシノ (染井吉野)
日本の桜を代表する樹種で、気象庁発表の「サクラ前線」は、この樹種の開花日を基準としています。
ソメイヨシノは、江戸時代末期に江戸のはずれ。
染井村(現、東京都豊島区駒込付近)の植木職が、オオシマザクラとエドヒガンザクラを交雑して作りだし、広く販売したといわれています。
ソメイヨシノは高木で生長が早く、枝もよく太ります。
花は直径4〜5cmもある大型で、葉の出る前に開花し、全部の枝を花で埋めつくす光景は実に見事です。
花期は九州が3月、関東では4月上旬〜中旬、北海道は4月下旬になります。
ヤマザクラ (山桜)
ヤマザクラは本州、四国、九州の温暖な気候の地域に分布する樹種で、日本での自生北限地は秋田県あたりです。
特に奈良県吉野山のヤマザクラは有名で、古くから日本人に親しまれています。
花は白色または微紅色で、花の直径は2〜3cmの中輪で花期は3〜4月です。
ヤマザクラは若葉の発生と同時に1ヶ所に4〜5ヶの花をつけます。
山桜の花にはソメイヨシノのような華やかさはありませんが、日本人の感性にぴったりくる美しさと優雅さを備えています。
サトザクラ (里桜)
サトザクラはヤマザクラの変種で、「山にある美しい桜を、わが庭に」と望む人たちが、人里の庭に移植し、交配を繰り返しているうちにできた品種です。
花は一重咲きなたは八重咲きがありますが、後者は特に花弁が多く華やかです。
花弁はおしべが弁化したもので、その数が10、20、30、40、50、それ以上のものなど、実に多くの種類がある。
サトザクラは花の色も多彩で、紅、薄紅、濃紅、白、紫、浅黄、緑など、バラエティーに富んでいます。
花期はソメイヨシノが散った4月下旬〜5月ごろです。