ブドウはアジア西部が原産で、農耕文化の始まりとともに生活の中に入り込んできました。
そして、古くから葡萄酒の原料として主に栽培されてきましたが、現在では世界の各地に広く分布しもっとも生産量の多い果樹です。
日本では700〜800年前にコウシュウブドウが山梨県で発見され、以来、家庭向き果樹や市場用として栽培されてきました。
おいしいブドウを作るには、太い枝を混雑させないようにします。
枝葉が込んで、日陰が多くなると育成が悪く、色づきや味が悪くなります。
主枝の間隔は普通の品種で2m、樹勢の強いマスカット・ベリーでは2.5mぐらいにします。
結果母枝を思い切って少なくします。
非常に結実がよいので、結果母枝を多く残すと、結実が多すぎて実成熟になります。
病害虫の被害枝など、被害部分を取り除きます。
植える時期:
ブドウの植え付けや植え替え時期は、12月〜2月が適期になります。
植える場所:
ブドウの多くの品種は、北海道から九州まで栽培できます。
しかし、日照時間が長くて、湿度が低く、開花期に雨が少ない地方、また、熟期の7〜8月の温度が高く、昼と夜の温度格差の大きい地方が最適です。
(昼間は暑く、夜は涼しい気候)
土壌は特に選びませんが、耕土の深い沖積の砂質土壌で、しかも表土が腐植質に富んだ水はけと通期のよい土地を好みます。
受粉:
ブドウは交配をしなくても、単為結果します。
摘粒:
ブドウは実を揃え、形や味をよくするために粒を摘みます。
ふつう、マスカット・ベリーAのように大きな房になるものは行いますが、理想的にはほかの品種でも行いたいものです。
ブドウの摘粒時期は花後3週間以内に、小粒のものや房がびっしりつまりすぎるような粒を間引きます。
摘房:
ブドウは結実が大きすぎると、色づきが悪く、味もよくないので、余分な房を摘み取ります。
摘房の時期は5〜6月で、葉が大きくて枚数が多い場合は房を多くつけ、これ以外は房を少なくします。
デラウェアなら一房には数7〜9枚、キャンベル・アーリーなら12〜15枚、マスカット・ベリーAなら13〜16枚です。
袋かけ:
摘粒、摘房が終わったら、病害虫や鳥害の予防のために袋かけをするようにします。
剪定やお手入れ:
ブドウの家庭栽培では場所が狭く、その場所の条件もいろいろなので、仕立て方はそれぞれの場所や条件に合わせます。
狭い庭では棚仕立て、支柱仕立て、ポール仕立て、円錐形仕立てがあり、やや広い場所では1文字(H型)仕立て、広い場所ではX型仕立てがあります。
ブドウの剪定方法には短梢剪定と長梢剪定がありますが、家庭栽培では前者が中心です。
短梢剪定は樹形が定まった木であれば、どこを切ってもよく結実します。
(弱い枝や不定芽を除く)
主枝の間隔は2.5mにし、まっすぐ伸ばした主枝の両側に左右交互に約20p間隔にわき枝を作り、ここに毎年、その年伸びた新梢を1〜2芽残して結果母枝とし、これに新梢を1本出し、デラウェア(小粒)で2〜3房、ナイヤガラ(中粒)で1〜2房、マスカット・ベリーAで1〜2房つけます。
この方法は規則正しく結果母枝が配置されているので、もっとも優しい剪定方法です。
注意する病害虫:
黒痘病:
新葉、幼果、巻きひげなど柔らかい部分はどこでも被害を受ける可能性があります。
発祥は5月の芽出しから6月の梅雨どきで、病斑は長円形の暗色で、点々とできます。
防除するには被害部分を取り除き、薬剤はジマンダイセン水和剤の600倍液か、トップジンM水和剤1500〜2000倍液をまきます。
晩腐病:
長雨が降ると果粒に発生し、熟期になるに従って多発します。
被害部分は取り除き、薬剤はジマンダイセン、ビスダイセン各水和剤の600〜1200倍液か、ベンレート水和剤の2000〜3000倍液を撒きます。
褐斑病:
褐斑病は葉に発生し、多発すると葉が落ちるので、落ちた葉は処理します。
芽出し前に石灰硫黄合剤をまいて予約し、5〜6月にジマンダイセン600倍液か、ベンレート水和剤2000〜3000倍液を撒きます。
共通病害:
上記以外にうどんこ病、べと病、さび病などがあります。
ブドウスカシバ:
ブドウスカシバは7〜8月の実が肥大した時期に、結果枝の髄のなかを虫糞を出しながら食害します。
防除するには6月中旬〜7月中旬に、スミチオン水和剤1000倍液をまき、剪定時には被害を受けた枝を取り除きます。
ブドウトラカミキリ:
ブドウトラカミキリは5〜6月に木質部を食害し、1〜2年枝が枯れてしまいます。
防除するには7月下旬〜8月上旬に、サリチオンやミクロデナポン、またはスミチオンの各1000倍液を撒きます。
キマダラコウモリガ:
キマダラコウモリガは根元付近の3〜5mmを環状に食害し、木質部に入り込んで、上部に向かて食害します。
防除するには根元付近を清潔にし、中には殺虫剤を綿に浸して入れ、土で穴をふさぎます。