植える時期:カキの植え付けの適期は2〜3月が適期です。
移植の場合には11月が最適です。
植え方:
カキの移植は、快晴で風のない日を選び、根を乾かさないように注意します。
移植する木はなるべく多く根をつけ、植え穴もなるべく広く深くし、そこに腐熟したたい肥と化学肥料を混ぜたものを入れ、間土(あいつち:肥料がじかに根に触れないように土で肥料を覆うこと)をして植えます。
移植が完了したら、水鉢(木の根元に注いだ水が流れないように囲む土堤)を作り、十分に水を与えて根を落ち着かせます。
その後、1年間は乾燥しないように、マルチングをし、乾いたらすぐ水を与えるようにします。
植える場所:
カキは日当たりさえ良ければ、ほとんど土質を選びません。
甘ガキは熟期の温度が高くないと、渋がうまく抜けません。
平均温度が9月は21〜23℃、10月が5℃以上が理想です。
したがって、関東以西の温暖地に適しますが、秋の温度が高すぎると逆に表皮が荒くなって肉質が落ちるので、南九州(鹿児島で9月中旬の平均気温24℃)などでは品質が劣ります。
渋ガキは寒さには強く、南北海道から九州までの各地で栽培されますが、特に東北地方のものが良質です。
剪定やお手入れ:
整枝:
カキは高木性で、植え付けた年は伸びが悪く、2〜3年たつと元気よく伸びます。
この頃は幹を中心に枝を整えていき、3〜4年で変則主幹形か開心自然形かに決めます。
普通カキは真っすぐに伸びるので、変則主幹形に仕立てますが、植える場所が狭かったり樹高を高くしたくない場合には開心自然形にします。
変則主幹形:
幹を中心に主枝を交互に5本出して、6〜7年で幹の先端の芯を抜くと、半円形に仕上がります。
5本の種子の先端は強く上方に向けて太く作り、主枝と幹の角度を40〜60°以上と広く取ります。
開心自然形:
変則主幹形よりも主枝を低めに整枝するので、地上40cmぐらいのところに第一主枝が来ます。
第一主枝から順に第三主枝まで作るので、第一主枝が一番大きく、第三主枝が小さくなります。
幹の主枝の角度は50°以上開き、主枝が果実の重みで下がらないように、枝先を強く上げて誘引します。
副主枝はそれぞれ主枝に2〜3本とし、主枝より強くならないように下げて作ります。
冬期剪定:
新梢の先端に花芽があるので、間引き剪定を主体にし、主枝、副主枝の先端以外は切り詰め、剪定はしません。
特に、主枝、副主枝の出来上がっている木は、なるべくふところの間をあけて、日当たりや風通しを良くします。
こうすること樹勢が強すぎたり、弱すぎたり、実付きが多すぎたりして落果することが少なくなります。
夏期剪定:
カキの不定芽は徒長枝となるので、5〜6月に芽かきをします。
また、徒長枝が密生したら切り取り、日当たりと風通しを良くします。
燃枝:
柿のわき枝が欲しいところに出た不定芽は、かき取らずに燃枝して残します。
指先で曲げられるほどにやわらかい時にねじっておき、大きくなったら切り詰めてわき枝とします。
そして、ここから結果母枝を作ります。
また剪定枝の決め方は次の2つのポイントがあります。
@結果母枝を判定する
この枝は箸の太さぐらいで、長さは20〜30cmぐらいです。
もとから先までの太さのあまり変わらず、先にしわがなく色つやもよいのが特徴です。
また、枝先の目は大きく丸く膨らんでいます。
このように先の充実した枝は、昨年結実しなかった枝で、結実した枝はやせ細っているのでよく分かります。
剪定で残す枝の割合は、結果母枝3:発育枝1です。
(細い枝で芽が小さい新梢が結果母枝になります。)
A不定芽を判定する
定芽は新梢についている芽、不定芽は新梢以外から新しい枝をださせる芽で、太い枝を切った後や古い枝によく出ます。
若い木では樹勢が強く、すぐに徒長枝となるので、夏期剪定をしっかり行うようにします。
摘果:柿の適果は花後1ヶ月ぐらいで行います。
残す数の目安は、頂上枝の強い結果枝で3個、普通の結果枝では1〜2個、短くて弱い枝では1個を残します。
葉は1個につき20枚ぐらいを目安に残します。
摘果を行う主な理由は次の3つです。
@品質の良い果実を収穫するため。
A隔年結果を防ぐため。
柿には表年と裏年があるといわれ、1年おきに実がなるので、毎年コンスタントに適量の果実をつけさせるために行う。
B新梢を保護するため。
果実がつくと重みで枝先が垂れさがり、特に1ヶ所にたくさん結実させると、その枝は極端に弱って枝先が下がります。
また、樹形が完成していない木の場合は、主幹の先端や主枝、副主枝の未完整枝を傷めないためです。
富有(フユウ):
富有は甘ガキの一種で、肉質がよく結実も多いのが特徴です。
樹勢が強く隔年結果も少ないが、関東以西の暖地向きです。
関東以北では秋の訪れが早いために、渋がうまく抜けない場合があります。
難点は炭疽病に侵された酸いことで、熟期は10月〜11月です。
次郎(ジロウ):
次郎も甘ガキで、肉質、日もち、樹勢が強く、炭疽病にも強いのですが、実なりは少ないのが特徴です。
熟期は富有よりやや早い。
次郎より少し熟期が早い、前川早生次郎があります。
駿河(スルガ):
駿河は甘ガキの一つで、晩生種で熟期は富有より10日ぐらい遅い(11月中旬ごろ)です。
肉質、風味ともによく、結実もよく、しかも多いのが特徴です。
甘百メ(アマヒャクメ):
アマヒャクメは甘ガキの一つで、古くからある品種で日本になじみの深いものです。
甘味が強く、結実も多いのですが、肉質はやや劣ります。
交配が不完全な上に、秋の寒さが早いと渋がよく抜けきらないものがあります。
平核無(ヒラタネナシ):
平核無は渋柿の一つで、寒さにも強く、暖地にも向く品種で、干しガキに向きます。
肉質はよく、実なりもよいのが特徴です。
堂上蜂屋(ドウジョウハチヤ):
堂上蜂屋は渋柿の一つで、樹勢が強く、肉質もよいのが特徴です。
干し柿に最適の品種です。
禅寺丸(ゼンジマル):
禅寺丸は肉質はあまり良くないが、雄花が多いので受粉樹向きです。