フジの概略
フジ 藤
マメ科フジ属 落葉広葉樹 小高木
【購入時の目安サイズ】 2.0m
【購入時の目安価格】 苗木@1,500円、成木@15,000円
【将来的なサイズ】 幅:4〜5m、 高さ:5〜10m
【花期】 5月
【開花日数】 10日
【果実期】 7〜8月
【原産地】 日本
【適地】 九州〜東北
【土壌条件】 特に選ばない
フジの特徴
フジは日本の優美さと風雅さを象徴する日本原産の花木です。
フジは北海道を除く日本列島の山野に自生しますが、園芸品種もたくさんあります。
今では世界の各地で愛され、開花しています。
フジは万葉集の中に大伴四綱の歌として、「藤波の花は盛になりにけり奈良の都を思ほすや君」とありますが、淡い紫色のフジの花房が微風に揺れながら下がる様は実に優美でしっとりとした情感をたたえ、日本古来の雅の象徴にふさわしいものです。
一般には棚作りにして栽培されるが、自由に仕立てることができます。
フジの若枝の葉腋から長さ20〜90cmの長い総状花序をだし、多数の蝶形花を開いて垂下します。
樹皮は灰色で幹は長く伸びて分岐し、右巻きに他ものにまきつきます。
フジは日当たりさえ良ければ、枝も根も伸び広がり、どこへでも巻きつく、生命力の盛んなつる性植物です。
幹も太くなり、山形県の鶴岡市金峰山には幹の周囲が2.2mもあるフジがあります。
フジの主な楽しみ方は下記の5つです。
@緑陰用の棚に
フジ棚は竹、木、鉄パイプなどを組み合せて作り、フジの苗木を8〜10m2に1本の割合で植えます。
A庭木として立ち木造りで樹形を大きくしないようにします。
B垣根に
フェンスやブロック塀に合わせて美しく、ポール、アーチなどに巻き付けてもよいでしょう。
C鉢植えとしてフジは根付きがよく、鉢植えも簡単にできます。
D生活材料にフジの種は煎ると、食用や下痢どめ剤になります。
また、つるは丈夫なので、かご作りなどに用います。
作業・お手入れアドバイス
植える時期:
フジの植え付けや植え替えは、11〜3月が適期になります。
植え方:
フジの移植はやさしいので、相当大きくなった木でもよく根付きます。
根は横向きに1〜2本が長く伸びていることが多いので、丁寧に掘り起こします。
また、移植するときは、この長い根をそのまま植えず、根巻きをして植えると樹勢を抑え花つきがよくなります。
植えた木が望みの高さになるまで、支柱をするようにします。
特に老木の場合は、年間を通じて支柱や腕木をします。
植える場所:
フジは太くて柔らかい直根性の根がよく伸びます。
フジは池の付近に植えると、根は池に向かって伸び、剪定さえ気をつければ、花つきもよく、順調に生育します。
剪定やお手入れ:
フジは短枝によく開花しますから、周囲の徒長枝が伸びすぎて、その短枝を日陰にしないように剪定します。
樹勢が強すぎる時も、花つきが悪くなるので、肥料を加減したり、強い新芽をかきとります。
フジは芽吹きがよいので、花が終わったら込んでいる枝を必ず間引き剪定します。
また、翌シーズンの花つきをよくするため、花後の実をよく摘んでおきます。
8月下旬ごろ、ふところ内の幹や大枝は、樹冠や棚上を混雑させ、日陰を作りますから、早めに剪定をするようにします。
また、7〜8月ひは花芽のついた新梢が出ますが、これは新梢のもとから4〜5芽を残して、剪定します。
フジは葉のない時期に樹姿をよく見て、木の形を理想的な形に整えたり、不要な枝を剪定したりします。
注意する病害虫:
フジは幹や大枝にこぶ状の小突起が出て、枝枯れや胴彼を起こす癌腫病(コブ病)を防除。
予防法は、枝の剪定をして、風通しを良くすることです。
コブができたら、それをよく取り除き、傷口にクレオソートを塗った後、昇コウ水の1000倍液をまきます。
害虫ではマメコガネやブランコ毛虫に注意し、防除するには、スミチオン乳剤、マラソン乳剤の1000倍をまきます。
フジの系統と主な品種
フジは大きく分けると、一般的に「フジ」と呼ばれるノダフジと、もう一つのヤマフジの2種類があります。
表面的にはあまり違いませんが、一番はっきりした点は、ノダフジのつるが右巻き、ヤマフジのつるが左巻きというところです。
ノダフジ:
ふつう「フジ」と呼ばれるのは、つるが右巻きのノダフジで、この系統の属する園芸品種もすべて右巻きのつるになります。
分布域は、北海道を除いて本州、四国、九州の各地などになります。
花の房は、野生種では20〜30cmぐらいで小ぶりですが、園芸品種では、50cm〜2mもの長い房になるものがあります。
ノダフジの名称は、この花の名木が、摂津の野田(現在の大阪市都島区野田町)付近に、多くあったところからきています。
園芸品種には白野田藤、九尺藤、本紅藤、口紅藤、一才藤などがあります。
ヤマフジ:
つるが右巻きのノダフジに対して、ヤマフジはつるが反対の左巻きになっている。
関東以西の本州や、四国、九州に自生し、花の1つ1つは比較的大きいが、花穂はノダフジほど長くはなく、全体にずんぐりした感じです。
花のつき方は、ノダフジよりいくらか早く、花穂の上から花がついていくノダフジと違って、こちらは花穂全体がほぼ同時に一斉開花する。
園芸品種には、花美短、野藤、東藤などがあります。
なかでも花美短は花つきがよく、栽培や管理も簡単なので人気です。