樹木が生き生きと育つためには、いくつかの環境要素が必要で、大きく分けると、次のように分類できます。
@気候的要素:光、水、湿度、風
A土壌的要素:土壌の性質
これらの要素は互いに関連する物もあり、また、正反対に作用する物もあります。
狭い庭などではすべての条件をそろえることは困難ですから、できる限りの条件を揃えて適地適作の樹種選びを心がけます。
日光と樹木日光は樹木の生育に欠かせない要素です。
光と温度を与え、発芽、発根などに直接関与する、大きな影響力を持っています。
また、植物は日光と水と葉緑素の働きで、炭素同化作用(光合成)を行い、無機物を有機物を変えることによって生活を営んでいます。
ようするに、植物は存在のすべてを日光に依存しているわけです。
ただし、樹種によっては、多量の日光を必要とするもの、少しぐらいの日蔭なら生育に支障のないもの、日陰に十分耐えるものなど、さまざまなものが存在します。
温度と樹木
日光とも関連しますが、温度もまた生長、同化、呼吸、吸収などすべての樹木の生活と関連します。
植物にとっての生育適温は、温帯植物では18〜23℃で、時期的には5〜6月に相当します。
樹木栽培で気をつけたいのは、高温よりはむしろ低温による被害です。
気温が非常に低下した場合、樹木の体内組織が破壊され、枯れてしまいます。
樹種による差はありますが、最低温度は0〜-10℃ぐらいです。
水と樹木植物体の50〜80%は水分です。
水分不足のため、根からの給水と葉からの蒸散のバランスを失うと、植物は枯れてしまいます。
根から吸収された水分は、炭素同化作用に用いられたり、養分とともに上昇して各器官に配分されます。
また、葉面から蒸散作用の多少によって、植物体温の調節を図っています。
こうした植物の活動は、暑い夏ほど活発になります。
夏は特に、樹木の水分補給を十分にしてやる必要があります。
温度と樹木
空気中の湿度が高い方が、植物は給水と蒸散のバランスを保ちやすいといえます。
このため、挿し木や移植など、根を正常に働かせたい作業は、湿度の高い時期を選んで行います。
日本の気候は温度があまり高くなく、湿度の多い3〜4月と9〜10月が適期です。
乾燥する冬は特に、植え付けた苗木や移植した樹木の水やりを十分に行い、根の乾燥を防ぐようにします。
土と樹木
土壌のよしあしは、樹木の生育を決定する重要なポイントです。
植物の生育に最適な土壌とは、腐植質に富み、水分、養分、空気を適量に含む団粒構造をもった土です。
このような土は、通気性、透水性、保水性や肥料分を保持する力が強く、微生物が繁殖しやすい土壌です。
このような土壌を、「物理性の高い土壌」と呼びます。
一方、「化学性の高い土壌」とは、土壌の化学成分が酸性やアルカリ性のどちらにも偏らず、しかも、植物の栄養素として必要な、窒素、燐酸、加里、石灰が適量に含まれている土のことです。
【樹木に必要な肥料】
・
肥料と樹木
・
根の働きと肥料
【肥料の主な成分と働き】
・
肥料の3要素
・
窒素肥料
・
燐酸肥料
・
加里肥料
・
微量要素
【肥料の種類】
・
有機質肥料
・
化学肥料
【施肥とその時期】
・
寒肥 (元肥)
・
春肥 (追肥)
・
夏肥 (追肥)
・
秋肥 (お礼肥)
【施肥量と施肥法】
・
施肥量と施肥法
・
輪肥法
・
つぼ肥法
・
放射状肥法
・
表面施肥法