道尾秀介氏の
カラスの親指を読みました。
最近めっきり嵌っている道尾秀介作品です。
最初に読んだ
向日葵の咲かない夏、
シャドウがとても面白かったので、氏のいろいろな作品を読むようになりましたが、最近読んだ
ラットマンと
ソロモンの犬がまあまあだったので、ちょっと残念なので、評判が良い作品を選んで読んでみることにしました。
出張の帰りに読み始めたのですが、あっという間に読んでしまいました。
ミュンヘン空港で乗り換えだったのですが、機材の故障で3時間も遅れたので読み始めることに。
もらった€7分のバウチで
PAULANERとおつまみを買って、ほろ酔いながら読み始めました。
今まで、氏の作品で良かった物は重たいというか暗い雰囲気の作品が多かったのですが、これは、どちらかと言えば明るい感じで、伊坂幸太郎の
陽気なギャングが地球を回すに似た感じでした。
重たいような話の内容でも、主人公のタケさんとテツさんのキャラクターのおかげでしんみりとせずに読むことが出来ました。
その他のキャラクターのやひろとまひろ、そして貫太郎も魅力的で、あっという間に物語に引き込まれていきました。
主人公達の活躍と、暗い過去、怒濤のエンディングと大満足の作品でした。
5人の特徴を活かした"お仕事"のシーンがもう3~4エビソード入っていると、満点の評価だったと思うのですが、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。
-------------以下、ネタバレがありますので、未読の方はご注意を-------------------------
テツさんの秘密にはうっすらと気づきましたが、(本の帯にあった”映像不可能と言われた本作を完璧に再現”なんて余計なことが書いてあったので)それにしても、全部がテツさんの仕組んだことだったとは...
あと、もう一つのシーン、家族を手の指に例えて、集まった5人を小指がまひろ、姉さん指がやひろ、兄さん指が貫太郎、母さん指はタケさん、親指がテツさんと例えたときにテツさんの秘密を確認しました。
本のタイトルと親指に例えなければならなかった理由が。
まさにお母さん指が他の指、特に小指に触るには親指の助けが必要というシーンがありますが、これはやひろとまひろの母親が2人の子供に寄り添うために父親が欠けていただけでなく、タケさんと2人との関係を親指のテツさんが助けるという暗示もあったのですね...
しかも、テツさんが2人の父親なのに、タケさんまで救う結果の方に導いてくれているとは...
奥さんの敵でもあるわけだし、復讐を企んでいるのだと思っていましたが、ビックリの結末でした。
それでも、それほど違和感を感じることは無く、むしろその方が嬉しいのですが。
ちょっと寂しいのは最期を看取るのは真相に気づいたタケさんだけで、まひろとやひろは知らないままとは...過去から解放されただけでも十分幸せなんでしょうが、タケさんですら許せた2人ですから、過去に捨てられたというか離ればなれにならなければならなかったとはいえ、あんなにすばらしい人が父親だと知ったら、もっと嬉しいのだと思いますがね。
なんで、打ち明けなかったんだろう...一人だけ、損な役回りの気がしますが。
今のところ道尾作品のランキングは
1.
向日葵の咲かない夏 ★★★★☆
2.
シャドウ ★★★★☆
3.
カラスの親指 ★★★★☆
4.
骸の爪 ★★★★☆
5.
片眼の猿 ★★★☆☆
6.
ラットマン ★★★☆☆
ってところですかね。
氏の作品がどんどん洗練されて行っている気がします。
早く、新しい方の評価の高い・人気の高い作品を読みたくなりました。
2013/05/19
採点:★★★★☆
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