道尾秀介のラットマンを読みました。
「向日葵の咲かない夏」、「シャドウ」がかなり面白かったので、手当たり次第、道尾作品を読んでやろうと思いまして。
感想としては、まあ、期待通りの面白さでした。
大きな驚きも無く、少し物足りない印象を受けましたが、エンターテイメントとしては満足です。
何か、自分にとって特別な作品になるというほどではありませんでした。
期待し過ぎかもしれませんが。
以下、ネタバレもありますので未読の方などはご注意ください。
お姉さんが亡くなっているのを見つけるシーンで、思わせぶりにありえないところに血がついているだったか、ありえないものがあったのに、後日、気がついたと主人公が回想するシーンがあります。
思わずそのシーンを読み返してしまいましたが、特に分かるようにはなってなかったと思います。
私が読み取れないだけかもしれませんが...
答えは母親の袖についている血なのですが、姉の死体を見つける前についていたのはおかしいと。
でも、これは前述のシーンでは分かりません。
母親が救急車を呼びに家の中に入っていく際に、サッシに血がついたという記述がありますが、これは死体に触った後なので、矛盾はありませんし...
まあ、意図的に記述していないのだと思いますが、こうすることで、姉の死が事故でないとする証拠だと思わせ、しかも、後日、父親が病気で亡くなる際に「俺は正しいことをした」というセリフ等から、父親が怪しいと思わせる狙いなのだと思います。
でも、私としては、死体発見の際に、母親が触る前に袖に赤いしみがついていたことが何かしらの方法で読み解けるようになっていたらすばらしいと思いました。後になって主人公が言うのではなくて。
そうすれば、一段、レベルが上がったミステリーになったと思います。
それ以外にも、恋人を殺したのはその妹と、これもまた、袖についた血から 勘違いしてしまうのですが、これも、彼女がスタジオに入ってくるシーンからは
分かりません。
後日、主人公が自ら語ります。 これも、そのシーンでヒントがあった方がいいのにと少し残念です。
だって、読んでいてそんなの分かんなくて当然ってなると、なんともミステリーを読んでいる醍醐味が薄れてしまいますから...
ただ、袖の血はどちらも主人公の勘違いで、母親は赤い絵の具、恋人の妹は自分の血と分かるくだりは秀逸だと思います。 確かに前後のストーリーから、そうであってもおかしくないし、予想できる範囲だと思いますので。
ただ、最後の謎解きというか、散りばめた布石のまとめが急すぎて、その間の時間が十分に無いので少し興ざめです。
反対に、一気に仕掛けられた謎解き(多くは勘違いであったりする)が2転3転するのはスピード感があって読み応えがあったので、どちらかを選べといわれたら、本書のパターンの方がよいかと。
序盤から前編に渡ってさまざまな謎が散りばめられ、それが一気に終盤に矛盾無く(無いように感じた)収束していく終わり方は読んでいてとても気持ちがよかったです。
しかも、それが2転3転するのがすごい!
これが道尾作品の魅力なのでしょうか?
あと、エアロ・スミスのwalk this wayがいろんなシーンに挿入されているのですが、ホントにバックグランドに流れているような印象を受けました。
そして、それがホントに物語の場面や作品の雰囲気に合っていてすばらしいです。
もっと、他の作品も読んでみたくなりました。
2013/02/12
採点:★★★☆☆
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