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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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シャドウ道尾秀介

道尾秀介の「シャドウ」を読みました。

友人が道尾作品に嵌っているようで、進められたのでとりあえず出生作らしき向日葵の咲かない夏を読んだところ、かなり楽しむ事ができたので他の作品も読んでみようとまとめて購入してみました。


シャドウ (創元推理文庫)

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予備知識が無く読んで見たのですが、非常に楽しむ事ができました。

道尾作品を読み慣れていないのでミスリードする手法というか物語の進め方に見事に引っかかり、そのおかげもあり、大満足でした。


以降、ネタバレの感想がありますので、読まれる方はご注意を。

ほとんど満点の★x5にしたかったのですが、最初に思わせぶりに出てくる謎の映像。裸の男女を見ている自分と、向こう側に見える自分に思える子供、そして悪い四角い箱を持っているというシーン。

病死した主人公の凰介の母親のお葬式で家族ぐるみのつきあいの幼なじみの亜紀の母親に会うシーンで、突如、このイメージが頭の中に浮かび。そして、その母親がビルから飛び降りて亡くなる。

幼なじみの亜紀と公園で会ったときにもこのイメージが頭の中に浮かび、亜紀が車にはねられ病院に運ばれる。

このシーンに何か謎があるのかと思ったら、そうでもなく、なんか拍子抜けです。
これが、一連の事件の核心を突くような仕掛けがあれば★x5だったのにと残念です。

原因が分からないけど、次々と訪れる身近な人間の死や不幸。亜紀の母親はどうして死んだのか?自殺なのか?他殺なのか?その原因や動機は?

そのすぐ後に亜紀に訪れる不幸は何故?そして心なしか奇妙な行動を取り始めるような...凰介の父親をなんとなく避けているような...

亜紀の両親は関係が冷え切っていたようだがその原因は父親が母親を信じられなくなったから?その原因は?父親は精神を病んでいるのか?

いや、凰介の父親が...

などなど、次から次へと物語が展開し、引き込まれていきます。


亜紀の忘れていた忌まわしい記憶にまつわる犯人が凰介の父親と思わせぶりな書き方をしているけれども、実は違ったりするのですが、父親が犯人ではあって欲しくないと思いながら読んでいたので、少しほっとしたというか救われたのですが、でも真犯人がどうのこうのと言うよりも亜紀がそんな目に遭っていたことが可哀相でちょっと凹みます。

それ以上に父親の行動の裏にある動機が切なすぎて、なんか救われません。

「向日葵の咲かない夏」で救いのない最後に対して読者からのコメントが多く寄せられたので、本格推理ものを意識して書くということと合わせて書いた作品らしいです。

確かに向日葵の...に比べれば、子供達の将来に希望が持てますし、勧善懲悪が成されているので救われるのですが、前述の通り動機のきっかけになる出来事が重たすぎて...なんか後味がイマイチ悪く感じます。

とはいえ、物語はかなり楽しむ事ができましたので、他の道尾作品も読み漁りたいと思います。

なんか、もう一歩足りない気がするのですが、それを補ってあまりあるほどの魅力があるような気がします。
それが何なのかイマイチ、ピンときていないのですが...そのうち、分かるかな?


2013/02/12


採点:★★★★









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