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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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片眼の猿道尾秀介

道尾秀介氏の片眼の猿を読みました。

最近めっきり嵌っている道尾秀介作品です。
今まで何作か読みましたが外れがなかったので、結構期待して読みました。


片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)

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全体的な感想ですが、他の作品と違って少し軽いというか明るい雰囲気の作品でした。

まあ、扱っている内容が実は重たい内容なので、これぐらいでないと読み進めるのがしんどいとも思うのでちょうど良かったかなと思います。

登場人物のキャラが立っており、シリーズものとしてももっと読んで見たい作品でもありました。
それぞれのキャラクターでのスピンオフ、過去の物語なんてのも読み応えがありそうで、楽しみです。

書いてくれないかな?



以下、本作のネタバレがじゃんじゃんありますので、気をつけてください。



ミステリー作品として最大の見せ所というか読ませ所は、事件の犯人やそのトリック、事の真相だと思うのですが、この作品はそっちがかすんでしまいます。

登場人物達の人物像というか特徴が最大のビックリになっています。


冒頭に探偵としての依頼を受け、ライバル会社を盗聴している際に、ビルの屋上での「犬が何故、人間の何倍もの嗅覚があるか知っているか?」「それは顔の半分が鼻だからだ」という会話で全て、完全にだまされました。

主人公の三梨はどうやら耳にコンプレックスを持っていてヘッドフォンや帽子で隠しており、隣のビルの会話ですら聞こえてしまう特別な能力を持っていそうなことから耳がめちゃくちゃデカイのかと素直に思っていました。
なかったとは...盗聴はホントに機材を使って普通の盗聴でした。特別な能力ではなく。

ヒロインの冬絵はいつもサングラスで目を隠しており、電車の中から絶対見えない程の遠くで飛行機が墜落するのが見えたかのようにぴったりのタイミングで「あっ、落ちる」とつぶやいたことから、でっかい目を持っていて、千里眼なのだと思っていましたら、見事にだまされました。

昔の恋人の秋絵の秘密。

主人公の探偵事務所のあるアパート、ローズ・フラットの住人達のそれぞれの秘密と過去。
最後にサプライズというか、ネタ晴らしがあります。

でも、前述の通り、ミステリーの最大の興味事項ではないので、ちょっと、だから?って感じがします。
ホント、見事にだまされるんですが...本質を外してるよなって。
メインの犯人やトリック、動機は然もありなんという感じでパンチが効いていませんし。


冒頭に戻りますが、このネタ晴らしで登場人物それぞれが身体的に一般社会から見ると大変な障害というか特徴があることが分かり、この明るい語り口だから重た過ぎなくて済んでいるなと感じました。

また、道尾氏が度々、ミステリーを通して人を描きたいとインタビューなどで答えているのは、こういうことかと納得がいきました。

注文事項というか不満を結構書きましたが、十分楽しませてもらいました。
これからも他の作品を読むのが楽しみです。


今のところ道尾作品のランキングは
1.向日葵の咲かない夏
2.シャドウ
3.骸の爪
4.片眼の猿
5.ラットマン
ってところですかね。

もうちょっと読んだら道尾秀介ランキングにでもまとめようと思います。

2013/04/02


採点:★★★★









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