池袋ウェストゲートパークで有名な石田衣良さんですが、今まで作品を読んだことがありませんでした。
先日、人気作家の短編集の
7つの死者の囁きを読んだ際に多くの作品の中でも、
石田氏の作品が 一番面白かったので何か読んで見ようと、評判の良いものを探してみました。
全く予備知識なしで読み始めたのですが、読み進めていくとその設定に驚きました。
主人公がどうやら若いのに(30代後半〜40代?)脳を腫瘍に冒され、余命わずかです。
その病状が描かれており、すぐにでもなくなってしまいそうなのでどうなるんだろうと思ったら、
なんと激しい頭痛と共に200年後の未来に意識が飛んでいきました。
ぶっ飛んでいます。
200年後の世界の設定もまたすごく、「黄魔」というインフルエンザウィルスにより、
人類が滅亡寸前になっています。
その中で、地上2キロぐらいある塔の中が唯一ウィルスから隔離された生活空間で、
そこが特権階級の住居になっているのですが、中には入れない貧しい人間との間で争いが絶えません。
そんな中、特権階級の30人委員の一人として200年後の世界に意識が飛ぶのです。
この200年後の世界観といい、設定はディーテールまで細かい説明があり、
ぶっ飛んだ設定にもかかわらず、一定の説得力があります。
その後のストーリー展開ですが、紆余曲折があって世界を救うために立ち上がるのですが、
少し中だるみするというか、面白いことは面白いのですが事前の伏線などがなく、
行き当たりばったりのサスペンスといった感じで、少し薄っぺらい感じがします。
少し読む気をなくしてしまいましたが、つまらないわけではないので踏ん張りました。
後書きをみて納得したのですが、設定は9.11のテロにプロボーキングされて一気に考えたが、
その後の物語展開やエンディングは未定のまま連載を続けていたとか...
何とか収まるところに収まった感があると書いていますが、中だるみというか少し薄い感じの理由が納得です。
結構長い物語で読み応えもありますが、すごい面白いというわけでもありませんし、
暇つぶしに読める量でもないので、あまりおすすめではないかも。
でも、石田氏の作品は面白い予感がするので、やはり代表作の池袋ウェストゲートパークを
読んでみたいと思います。
採点:★★★☆☆
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