何人かの作家の短編集で、作者の名前を見ると
有栖川有栖、道尾秀介、石田衣良、鈴木光司、吉来駿作、小路幸也、恒川光太郎
となっています。
知っている人と知らない人と半分半分ですが、期待できそうです。
知らない作家の入門編というか辺りをつけるのにもちょうど良いかと。
ちなみに、読んだ時点での私の予備知識では、
有栖川有栖 − 何作か読んだことがある。本格ミステリーの人で今のところ大ハズレはない。
道尾秀介 − 友人に進められて「向日葵の咲かない夏」を読んだ。これからもっと読みたい。
石田衣良 − 未読。ただ、本棚にこの人の本があった。買ったけど読んでない。
鈴木光司 − 「リング」や「らせん」を読んだ。めちゃ怖かったけど、映画の方が出来がよかった。
吉来駿作 − 知らない
小路幸也 − 知らない
恒川光太郎 − 知らない
ってところです。
全体的に短編集なので余り読み応えはありませんでしたが、
おっと思うものと、よく分かんない話がありました。
題名の「7つの死者の囁き」も、すべての作品がこのテーマに沿っているとは
思えないので、ちょっと疑問です。
かっこいい題名ですが。
以下、それぞれの作品の感想です。
幻の娘 (有栖川有栖)
う〜ん。短編だからなんでしょうが、期待していたより読み応えがなかった。
容疑者が主張しているアリバイの証人が幽霊ってのはすごいですけど、
無罪を証明しなきゃいけないっていう緊張感が足りない気がしました。
真犯人のトリックもなんかとってつけたような感じですし。
流れ星のつくりかた (道尾秀介)
短編で読むにはちょうどいい作品だと思います。
よくまとまっていると思います。
他の作品を読んでいないので登場人物とかイマイチよく分かりませんでしたが...
近年、めきめきと人気がある理由が分かります。
ますます他の作品も読みたくなりました。
犯人が男の子の両親を殺して、男の子がいる中で逃げたトリックがメインですが、
「目が見えない」って...
これは良いとしても、何故、犯人がそれを知っているのか?
両親とはそれなりの親交があったようですが、知っているのかな?
ちょっと疑問。
話し石(石田衣良)
これは面白かった。というか、一番よかった話でした。
話し石という架空の言葉を録音する石の話しなのですが、よく出来ていました。
集めだした当初の仲間がその晩に自殺してしまうのですが、その理由は?
もう一ひねりあるのかと思いましたが、じ〜んと来る結末でした。
石田さんの作品は読んだことはありませんが、本棚に「ブルータワー」というのがあります。
何かで調べて買ったのでしょうが未読です。
これを読んで面白かったら、他の作品も読んでみようと思います。
熱帯夜(鈴木光司)
学生時代にリング・らせんを友人に進められて読んだことがあります。
怖かった。
読み物としての楽しみはそんなになかったと思いますが、話が怖かった。
映画の方が怖いので作家としては余り興味がありませんが...
今回の話は、ちょっとした誤解というか出来事が積み重なって不幸に繋がるのですが、
その過程が余り「上手い!」とか「すごい!」、「やられた〜!」と思わないので、
イマイチでした。
嘘をついた(吉来駿作)
ミステリーらしいお話だったかなと思います。
緊張感というか怖さもあり、楽しむことが出来ました。
友人というか恋人の女の子の死亡現場に友人の女の子と訪れるのですが、
そこから物語がどんどん展開していきます。
知らない作家ですが、2005年に「キタイ」でホラーサスペンス大賞に選ばれているそうです。
他に有名な作品とか出てこないのですが、これは読んでみたいと思います。
最後から二番目の恋(小路幸也)
死の間際に好きな恋をやり直せることになり、「最後から二番目の恋」を選ぶ主人公?
そのやり直しの恋の話です。
切ない雰囲気はあるのですが、ちょっとよく分からない話でした。
オチというかなんでこの恋っていうのも???だし。
友人を好きになったのに父親との恋になる?よく分かんない。
何で最後から2番目なのかも意味が分かんない。
この辺の感情の機微が分からないと楽しめない作品なのだと思います。
私には合わなかった。
夕闇地蔵(恒川光太郎)
何か昔話のような雰囲気の中で、いい世界観を出しています。
目が見えない代わりに別の「気」のようなものが見える主人公と、唯一といっていい友人の犯罪。
さて、どうなるのか?と、期待して読み進めましたが、しょぼい終わり方でした。
よく覚えていないぐらい...
「夜市」というデビュー作で直木賞候補にもなっているそうなので、
面白いのかもしれませんが、文学自体には余り興味がないので読まないでしょう。
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