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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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すべての経済はバブルに通じる小幡績

最近読んだマイケル・ルイスのブーメラン 欧州から恐慌が返ってくるがなかなかよかったので、
もう少し経済やバブル、サブプライムローン問題について知りたいと思い、購入して見ました。


すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

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内容については後述しますが、大満足の内容でした。

ただ、丁寧に書かれているのか文章が冗長でさらっと読めず、
内容がすぅ~っと入ってこないことが多々あり、内容がすばらしいのでしが読むのは疲れました。
内容が難しいからではなくて、文章が下手だからとうくだらない理由なところが腹立ちます。


さて、肝心の中身ですが、バブルの発生メカニズムやその待っただ中での投資家の心理や
崩壊時のそれとサスペンス小説を読むようなドキドキ感がありました。

また、サブプライムローンの債権の証券化についての説明があります。
サブプライムローンが経済的な信用の低い人たちへの住宅ローンであり、
土地の値上がりバブルを背景にどんどん融資金額を増やしていたけど、
土地の値上がりが止まった時点で崩壊して、世界中を100年に1度の大恐慌に陥れたという程度の
知識は持っていたのですが、その際の債権の証券化の意義と
何故、世界中の投資銀行や証券会社が自分たちの波状をもたらすほど買ってしまったのか?
その辺がイマイチよく分かっていなかったのですが、すっきりしました。
これだけのためにも読む価値はあったと思います。

債権の証券化によりサブプライムローンの問題は更に大きく膨らんでしまったのですが、
債権の証券化は債権をリスクの度合いによってランク分けし、細分化して売りに出すことにより
一般の投資家が小口で投資できるようになる、実に良くできた仕組みだと思います。
すごいなと単純に感動すら覚えました。

更に面白いと思ったのが、バブルの際には投資家たちはバブルと分かっていて投資をし、
チキンレースのように崩壊の直前まで降りることが出来ない。
これはプロの機関投資家であれば、なおのことその状態に嵌ってしまうというものでした。
これは他社との競争がメインの理由になりますが、その通りだと思います。
子供の頃、アトランティスの滅びた原因として文明が進化していたが、
人間の強欲により滅んでしまったとありましたが、ピンとこなかったのですが、
最近では、競争にさらされた人間が合理的な判断を下せなくなるということが分かってきた気がします。

第2~3章にかけてのリスクテイクとそのバブルにより、リスクがリスクじゃなくなる状態や、
反対に本当はあるリスクが見かけ上なくなった様に見えてしまうことにより、
リスクテイクバブルが発生してリスクとリターンを天秤にかけると合理性のない対象に
投資してしまうメカニズムや心理状況が実にすっきりと説明されています。

その他にも、リスクとして計算されるべきものが、偶然焦げ付きが2年ほど発生しなかったことにより
必然の結果としてリスクがないように計算されてしまう格付け機関の方法や
プロの機関投資家の苦悩など読んでいてとてもためになったというか参考になりました。

最後は現在の金融資本の自己増殖による投資機会の欠乏と 実体経済を反映しないバブルの発生、
金融資本と実体経済の主客逆転状況などの記述があります。
現在の金融資本の暴走ともいうべき、筆者の言うところのキャンサーキャビタリズムは
同時代に生きている人間から見ても少し異常というか、人智の及ばないモンスターのような感じもします。


採点:★★★★★









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