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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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欧州から恐慌が返ってくるマイケル・ルイス

リーマンブラザーズやゴールドマンサックス、ムーディーズ、政府などの演出する
その鉄壁な好景気のまやかしを見抜き、破綻に賭けた一握りのアウトサイダーを描いた
話題の作品「世紀の空売り」

メジャーリーグでヤンキースの1/3の年俸で同等の成績を残したアスレチックスの
ゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの革命的な考え方とその挑戦を描いた
「マネーボール」

これらの作者の最新作のブーメランを読んでみました。

ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる

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国家としての経済の破綻したアイスランドやギリシャ、アイルランド。

その破綻の道のりに何があったのか?その背景は?
非常に分かりやすい説明で、興味深く読むことが出来ました。


今はギリシャのデフォルトの危機が取り沙汰されていますが、
そういえば、ちょっと前にアイルランドの経済が破綻したってニュースが
あったような気がします。

その時には人ごとだと思っていましたので、あまり興味がありませんでしたが、
リーマンショック以降、海外の財政破綻が人ごとに感じられなくなりました。

そのアイスランドを破綻に導いた土地バブル。
この土地バブルはなぜ起こったのか?もしくは、引き起こされたのか?


今注目の的になっているギリシャの国家体質。

高すぎる公務員の給料と破綻した税制と財政。
横行する脱税の状況。


欧州経済の鍵を握るドイツと彼らの堅実な国民性。
そんなドイツの銀行がサブプライムローンでは一番つかまされたのはなぜか?

アリはキリギリスを救わなければならないのか?


サブプライムローンの際には、その波状に賭けた一握りのアウトサイダーが
CDSで今賭けているのが日本とフランスの国家の財政破綻。

債権(国債)を所有していて、そのリスクヘッジのために購入できるCDSなら分かりますが、
実際に債権を持っていないのに購入できるというのが信じがたい。

こんなのありですかね?ただのギャンブルにしか見えません。
規制するべきだと思うんですが…


そして、その後み待っている世界はアメリカの財政破綻した街であるヴァンフォーレのような世界。

更に、財政破綻のために、公務員は数百人→数人に減らさざるを得ず、
削減した分の予算は引退した公務員の年金をまかなうためだけに使われる時代がやってくるなんて…


知らないことだらけでしたので、勉強になった一冊でした。

あと、子供の頃、ムー大陸の破滅は人間の欲望が招いたものだなんていう話を聞くと、
先が見えているなら、そんなわけないと思ったものですが、
最近はそうでもないと思い始めました。

だって、為替だってガソリンだって、土地バブルだって、サブプライムだって、
いつか破綻するって分かっているのに、それでも人間は買い続けるんです。

破綻すると分かっていても、今は儲かる。他の人間は買って儲けている。
じゃあ、今この時を切り取って考えると買わなければ損。
ってな具合のスパイラルに入ると止められないんだと思います。

子供の頃はそんなことないと思っていたのですが、人間の欲は恐ろしい。


採点:★★★★









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