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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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迷いと決断出井伸之

ソニーの元社長である出井伸之氏の現在の日本の状況や将来の方向性について考えを書いている日本大転換を読みました。

同氏の別書、迷いと決断には氏が社長としてソニーの経営を切り盛りした際の課題点や悩んで決断をしてきた経緯が書かれており、非常に参考になったので、今回も何か学ぶことがあるかと思い読んでみました。


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全体として、現在の世界経済の閉塞感や進む方向、今後の日本産業の進むべき(だと思う)姿が一生懸命、書かれています。

その内容は、日本としては海外、特に新興国のインフラ全体をパッケージとしてプロモートする様な産業に技術力を活かすのが今後の道だろうとのことです。
そのためには官学民が一体となって進めていく必要がある。そのための仕事をしている様なことが書かれています。

また、エンターテイメントもこれからの日本の産業たり得ると感じているようです。私は可能性はあると思いますが、最大のネックは「言葉」だと思っています。
エンターテイメントを全部「英語」で作れば別でしょうけど...
香港、シンガポール、マレーシアなど、アジアでも英語で全く問題のない国がありますし、それらの国だって文化レベルは決して低くないと思うのですが。
むしろ、グローバル化の中で日本が飲み込まれるんじゃないですかね?
だって苦労してリスクを冒して何か作るよりも、海外で成功した物をそのまま輸入した方が確実でしょ?韓流ドラマをじゃんじゃん日本で放送しているのだって、コストがかからずにそれなりの成功実績のあるドラマを流せるからでしょうから。

オープンイノベーション型の産業が今後の姿で、基礎研究からアプリケーション開発まで、今後はどう協力していくのか?その姿を見つけていくことも大切そうで、官学民をまとめてそのグランドデザインを描こうとしているようです。
まあ、それは誰かがコントロールするのは無理だと思います。
イノベーションはサプライ型のイノベーションからエンドユーザーの個のイノベーションに変わってきていると氏も言っている通り、便利な仕組みや基礎技術を確立して、それをオープンソースにすることで勝手に進むんじゃないかと思いますが...


出井氏が感じている今後のグローバル経済の進姿や新しい評価の提唱、今後の日本産業の進むべき姿の提案と、読み応えがありました。

しかし、まだまだ構想段階の話ばかりで、概念というかアイデアという意味では分かりますが、事業の在り方や詳細としてはイマイチ、実感としてはピンとこないところもありました。

日本のエンターテイメントにこれほど、自身を持っていることにも正直驚きました。
氏よりもずっと若く、むしろ、そのど真ん中にいる私自身が他国と比べて大したことないと思っているのに...


あと、氏が指摘している日本の物はオーバースペックの物が多すぎると言うのには大賛成です。そのオーバースペックのために無駄にコスト高になり、国際競争力をなくしているって言う。

日本の人件費は高すぎます。
今後の国際競争の中でどうなっていくのか?技術を海外に展開していくだけで今の労務費を維持できるのか?どうやって維持するのか?
人件費が下がらざる得なくなったら物価も下がるのか?政府は上げようと躍起ですが...


本書で議論されている内容は少し大きな話なので、自分としてはあまり実感としてピンとこないことも多くありましたが、将来はこんな事を考える立場になるのでしょうか?

自分・自社の事業をどう成長させていくか、生き残らせていくのか?を考えるときの考え方として参考になる気がしました。未だ、私には早かったかな?

2013/07/01


採点:★★★☆☆









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