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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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孤宿の人宮部みゆき

宮部みゆき孤宿の人を読みました。


ミステリー小説にファンタジー、歴史小説と様々なジャンルで活躍されている宮部氏の歴史小説。
氏の同ジャンルでの最高傑作と言われているらしいです。

実家に帰省した際にあったので、持ってきました。

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江戸時代、第11代将軍、徳川家斉の時代に瀬戸内海に面した架空の讃岐国・丸海藩での物語です。

「夜明けの海に、うさぎが飛んでいる。」
こんな印象的な文章から物語が始まります。

江戸で自身の妻子と部下を殺し生きながら悪鬼になったという加賀殿が、物語の舞台である丸海藩に流されてくるということが決まり、丸海藩の人々は武家から町民まで心が騒ぎ、様々な噂が流れると共に次々と事件が起きていきます。


主人公は「ほう」という幼い少女と、引手見習いの「宇佐」という少女で、2人の運命が絡み合い物語が進みます。

その他にも2人を取り巻く人物との出会いや事件を繰り返しながら、丸海の町と加賀殿を巡る物語がどんどん深みを増していきます。


宮部氏の物語の魅力はそのストーリーだけでなく、豊かな登場人物の感情の描写や説明にあると感じていますが、この物語も例外ではなく、これにより、どんどん物語に引き込まれて行くのだなと感じます。

それだけに主人公にどんどん感情移入してしまい、不幸が起こると、その分、ショックや切なさが大きくなります。


物語ですが、何とも切ないというか温かいというか、心にじ〜んと染み入ってくるような物語でした。

江戸時代の人々の暮らしぶりがとてもよく描かれており、架空の藩である丸海藩もとてもリアリティーがあります。
藩と町、藩士と町民との関係、迷信や祟りを信じる人々の暮らしぶりなどがとても説得力がある。

それにしても、「宇佐」の最後はとても残念です。
この終わり方にする必要があったのでしょうか・・・

「ほう」と「宇佐」の2人の暮らしが待っていたはずなのに。
それも、宇佐の最後は描かれることなく...

2013.05.12


採点:★★★★★







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