石持浅海氏の
君の望む死に方を読みました。
このミステリーがすごいで2位になり氏の出世作ともなった「扉は閉ざされたまま」の続編ということで、扉は...はかなり面白かったので、期待できそうです。
誰が主人公か?犯人かといわれるとちょっと難しいのですが、中堅電機メーカーの創業社長である日向が膵臓がんにより余命6ヶ月を宣告されるところから物語が始まります。余命が6ヶ月ということで、やり残したことは自身の会社に働く将来の幹部候補エンジニアの梶間に自身を殺させてあげることにします。
どんな設定だと思うのですが、どうやら梶間は協働創業者だった境の子供であり、その境は日向が殺してしまっていたらしきことが序盤で分かります。
さて物語は、日向は社員のお見合いを兼ねた研修会に若手の幹部候補生を保養所に招き、2泊3日の研修を行うのですが、その場所で梶間が日向を殺せる環境を準備しておきます。また、梶間も数ヶ月後(1ヶ月?)の欧州転勤が決まっており、これが復讐の最後のチャンスと、日向を殺すチャンスを見計らっています。
作者も殺人までの物語をじっくり書いてみたかったのだとか。
相変わらず論理的に物事が進むので、読んでいて違和感がなく、緊張感も切れることがありません。殺人のチャンスをうかがっている梶間の視点からの物語は面白いです。
ただ、何点か欠点というか矛盾のようなものを感じ、少し前作に比べると完成度が低いのかな?と思いました。例えば、がんがん梶間の視点から物語を進めている中で、同僚の女の子の視線を気づいてか気づかずか云々とあるが、直前まで梶間視点から描かれていて急にこれはないだろうとか。これは物語の矛盾でないからいいとしても、他にも優佳が犯人というか黒幕というかの推理をする際に、対象の日向の言葉「彼らはコーヒーを飲むまもなく...」を手がかりor証拠として受講者を犯人から除外するのも、最後に日向を候補に残すならその人間の言葉を単純に信じちゃいけないだろうと。それ以前に、裏も取らず、ただ言葉だけで証拠とする都合の良さというか詰めの甘さが気になりました。とはいえ、これで物語がつまらなくなるということはないレベルですが...
それよりも、最後に優佳は殺人を止めず、どこまで察してなのか逆に手伝うような行動も見せるのがイマイチよく分からない。本人の言葉からいえば、今日、初めてあった梶間よりも以前から知っている日向の方が大切ということで、身を守るための日本酒の瓶を梶間の位置からは見えないだろう場所に置いていくのですが、日向は梶間に完全な殺人をさせるためには自分が抵抗しなければいけない。それを乗り越えてこそ、梶間は目的を達成できると全力の抵抗を誓います。また、それを成し遂げてこそ、経営者として、後継者として合格だと。訳の分からないことまで言い出します。もう、この場面はついて行けません。一気に興ざめです。
そして、物語はどうなったのか分からないまま終わってしまいます。こんなに綿密に計画を立てたり、様子をうかがっているのに、その実行までは描かないなんて。しかも、なんかそのタイミングでなくてはならない、その凶器でなくてはならない必然性が全然分からないし。ちょっと最後の詰めが甘いんじゃないかなぁ?
なんか、ちょっと消化不良の一作でした。人には勧められないかな?
採点:★★★☆☆
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