エラリー・クイーンの
Xの悲劇を読みました。
上司からは、Y読んだら必要ないよといわれていましたが、
Yが面白かったので、読んでみることに。
最初に買っちゃっていたし。
感想は、確かに正統派の本格ミステリーなのだと思うのですが、
Yの悲劇に比べると物足りなさがありました。
謎解きはよく練られていて、面白い展開なのですが、
ドルリー・レーンの勿体つけた姿勢にうんざり。
彼を嫌いになりました。
また、本だから成立していると思われる変装というか多重生活には、
すこし説得力がなかったかな?
私の想像力不足なだけかもしれませんが…
また、今回のストーリーのキーの一つのダイイングメッセージですが、
東野圭吾の
名探偵の掟では、少し解釈が違っていました。
ダイイングメッセージは犯人を知らせようとするのに、
ミステリー小説の中では分かりにくいメッセージで、
なぜ、直接犯人の名前を示さないのか?
と問題を提議しました。
エラリーはレーンに作中で、
"死の間際の人間には想像力に限界がなくなるのです"
といわせています。
これに対し、東野は理由づけとしては"弱い"と言っていますが、
この文章だっけは確かにそうかもしれませんが、Xの悲劇のストーリーを加味すれば、
死にゆく人間は犯人をを伝えようとするが、ちょうどいいものがない、
しかし何とかしてメッセージを残そうとする、
また、死にゆく間際の人間の想像力は無限になるので、
少しでもヒントになるものを残そうとする。
それが、通常ではなかなか犯人につながらなくても。
と十分ロジカルに解釈できまると思うのです。
この点に関しては名探偵の掟に反対です。
プロに対して、かじりかけの私が言うのは失礼かもしれませんが…
とはいえ、彼の本意としては、ダイイングメッセージが謎解きの中心になる
ミステリにおいては、それが、抽象的なヒントとならざるべく、
十分な背景の作りこみが必要であるべきだとの問題提議と受け止めます。
安易にパズルみたいな謎は残すなよと。
これで4部作の残りのZの悲劇とドルリー最後の事件は読まなくてもよいかなと思いました。
紹介してくれた上司は、Zは駄作だと思うとも言っていますし…
それよりも国名シリーズのエジプトの十字架がいいらしいですので、
そちらを読んでみようかと思います。
採点:★★★☆☆
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