冲方丁氏の
天地明察を読みました。
第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞し,第143回直木賞の候補作品であり、映画化もされた話題の作品です。
読むのが遅くなりましたが、文庫版が出るのを待っていたら時間が経ってしまったのです。
ずっと読みたいと思っていた作品で、ようやく読むチャンスが来ました。
日本にいる間に読み始めましたが、面白くて止まらなくなり、アメリカ出張の飛行機の中でも読み続ける羽目に。そのため、いつもならぐっすり飛行機で寝てジェットラグにならないようにするのですが、寝ずに読んでいたため、がっつり時差ぼけになってしまいました。
主人公の渋川春海に関しての知識は全くないのですが、それでも、物語自体が面白く仕上げられており、あっという間に虜になってしまった感じです。
テーマの天文観測や暦、碁について、特に興味があるわけではありませんが、その魅力の一端に触れることができた気がします。
特に暦に関しては、改暦が社会に与える影響や利権、神道や仏閣、天皇家と幕府の関わりなどなど、取るに足らなそうなテーマが実は人生をかけるほどの価値がある大きなモノと知って、その大仕事が初めて分かりました。上手く書かれているんだと思いますが。
ちょっと、引いてみるとなんかどうでもいいようなテーマにも見えるのですが、そうではなく、戦乱の世から太平の世に移る変わる中での幕府や武士の位置づけや価値観の変化などがダイナミックに描かれています。
登場人物にしても主人公の春海については何も知らなかったですが、水戸光圀、関孝和といったビッグネームが上手く物語に絡み合ってきます。
更に、これらの人間に求められることにより、無名に近い春海の偉大さが間接的に伝わってくるので、上手いなと思いました。
物語自体も、淡々と描かれているようでありながら、主人公達の熱い情熱が伝わってきます。
また、改暦の儀といった取るに足らなそうなテーマから、戦乱の世から太平の世に向けての武士の在り方や国の治め方に関しての変化といった大きなテーマまで描かれています。
最初の改暦に儀では最後の最後に日蝕を外し大失敗に終ってしまいます。何か俄に盛り上がってきた機運の中での改暦の儀だったため、然もありなんという感じですが、簡単に成功しないところがこの物語の面白いところだと思います。
死したも同然なほど落ち込み、不幸も重なりますが、そこから立ち直り、また、改暦を目指す姿にどんどん物語に引き込まれて言ってしまいます。
更に、当初はあまりにもナイーブだった春海ですが、最後は実に老獪というか世の酸いも甘いも知り尽くしたような、用意周到な仕掛けで成功へと導きます。
この姿に春海の成長を感じる事が出来ます。何かに打ち込み、それを達成するために没頭して、コミットして達成していくことの大切さというかやりがいを感じると共に、それを通しての成長が読み取れることがなんか嬉しいのです。
非常に読み応えのある一冊でした。
お気に入りの作品の1つになりました。
「天地明察でございます。」という一言は心に残っています。
なんか、ちょくちょく使いたくなってしまうフレーズです。
2014.08.12
採点:★★★★★
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