宮部みゆきの
あかんべえを読みました。
氏の作品は何作か読みましたが、外れという外れはなく、他に何を読もうかと思案していたら、これが初期の作品で評価が高い作品のようですので読んでみようと思いまして。
中国の杭州に出張が入ったので、その移動時間、ホテルで読もうと持って行きました。行きの飛行機には距離が近いせいかスクリーンが座席に付いていないので映画を見ることが出来ず、もっぱら読書と睡眠でした。
ちょっと前に本初深川ふしぎ草子を読んだのですが、同じ江戸時代のお話でした。孤宿の人といい、時代物がうまいな〜と感じました。なぜでしょうか?やたら難しいというか古い表現を使いまくらないからでしょうか?それにしては江戸の言葉というか時代に合った表現になっていると思うのですが…
あと、文章力というは表現力なんでしょうが、物語の情景が絵に浮かぶんですよねぇ…読んでいて説明くさかったり、クドクドと描写しているわけではないのですが、各々の場面がす〜っとイメージとして頭に浮かんでくるんですよね〜。
だから読みやすいし、物語に引き込まれていく気がします。
さて、物語ですが、とんでもない展開でした。
お化けが見える子供のお話。
主人公の両親が料理屋のふね屋を出すのですが、最初のお披露目のお客さんの時にお化けが暴れて大変なことになってしまいます。
主人公のおりんにはお化けが見えるのですが、他の人には見えたり、見えなかったりってなお話です。
見える人でも全部のお化けが見えるわけではなく、見えないお化けもいるのですが、何故かおりんには全部が見えるのです。何故?
また、お化けは成仏できずにこの世をさまよっている亡者だとのことですが、何故この世に思いを残して留まることになっているのか、みんな記憶を無くしてしまっていてその理由が分かりません。
人間の登場人物も実に魅力たっぷりです。お化けさんたちも魅力たっぷり。最後にすっきりとみんなの謎が明かされ、物語が終わるのですが、もっと、それぞれのお化けさんの話をじっくり読みたいなと思いました。あと、5倍ぐらいの量になってもいいから、それぞれのお化けさんの生きていた頃や、おりんに出会うまでの物語をじっくりと描いてもらいたいなと。
次第に謎が解けていくにしたがって、結構、切ないことになってしまうところもあります。おりんの出世の秘密やおたつおばさん、銀次の話、おゆうの話などなど…それも人の心の深いところにある良心というか温かいものとつながっていて、ただのひどい話じゃなくて、なんというか、人間としての業というか弱さ・切なさって感じで、じ〜んと胸にしみてくるんですよねぇ〜。
できることなら、鬼平犯科帳並みに長編のシリーズにして、ふね屋を中心に色々な物語を描いてもらって、最後にこの終わり方ですべてが終わるというようになっていたらよかったな〜と贅沢なことを考えてしまいます。
いろいろなお客さんがふね屋を訪れる中で、事件が起きたりして、少しずつ誰かの生前の記憶が明らかになっていき、最後に集約するみたいな感じの大物語として読みたいなと。最後は一気にいろいろな謎がクリアになって、どどど〜と終わってしまいますが、ちょっとあっけなくというか、一気に終わりすぎた感があって。面白かっただけにもっと読みたかったなぁと感じました。
最後に、ふね屋がこの後どうなったのか?気になります。
ふね屋が軌道に乗ろうが結局失敗に終わってしまおうが、この家族は幸せに暮らせいていける人たちだと思いますが、それでもやはりどうなったのかが…
物語の本題とは少し離れてしまいますが、それでもおりんたちの家族にとっては、これがずっと主題だったわけで… 久しぶりに大当たりの作品でした。
2014.01.25
採点:★★★★★
おすすめ購入先
イーブックオフ
おすすめ!
価格競争力が抜群!愛用のサイトでいつもまとめ買いしています。Tポイントも使えます。
アマゾン
品揃えは抜群!本だけでなくCD・DVD・日用品・家電・おもちゃと品揃え抜群。送料無料も魅力!
紀伊國屋書店
紀伊國屋書店のオンラインショップ。紀伊國屋ポイントをお持ちの方におすすめ。