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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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悪の教典貴志祐介

貴志祐介氏の悪の教典を読みました。

2011年のこのミステリーがすごい!の第1位。
その他も第1回山田風太郎賞受賞、第144回直木三十五賞候補、第32回吉川英治文学新人賞候補、2011年本屋大賞ノミネート(7位)と、そうそうたる賞をもらっています。

映画化もされ、まさに大ヒットの作品かと。


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強烈な作品でした。

最初は優秀で爽やかな教師かと思っていた主人公の蓮実ですが、読み進めていくと異常な精神の持ち主(サイコバス)であることが分かります。
しかも、すごく頭がよくて体力もあるのでタチが悪いです。

最初は学校の中で自分の思い通りにするために、地位を確立するために、教頭や他の教師の信頼を勝ち取ったり、生徒達からの人気も不動のモノにしていきます。
しかし、その中で、自分に都合の悪い人たちを排除するためには手段を選ばす、殺してしまいます。
しかも証拠を残さないように完全犯罪で。


しかし、徐々にほころびが見え始め、最後は計画的でない殺人を犯す羽目になり、それを隠すために大量殺人を行うことになってしまいます。

その過程は緊張感があり、ドキドキしながら読みました。

生徒達が逃げ切れるようにと応援するのですが、また、よく逃げるための手を考えて全力で抵抗を見せるのですが、蓮実がその上を行きます。
それが、とてもfairな戦いで、読み応えがありました。

生き延びる2人のトリックは少し簡単すぎて、興醒めしましたが、まあ、良いでしょう。
他にも逃げ切れる手はいくらでもあったと思いますが...他の人たちも。


あまりにも主人公の蓮実が悪すぎて、気分が悪くもなりますが、エンターテイメントだと割り切って読めば非常に楽しめる作品でした。

巻末に三池崇史監督の解説がありますが、この蓮実を非常にかっこいいと褒めていますが、勘弁して欲しいです。この人、頭どうかしてしまっているんじゃないかと思います。
映画の主人公としてのキャラクターとしては魅力的かもしれませんが、このキャラクター(人格)自体はとても肯定できるモノではありません。言葉足らずで、こういった意味でのかっこいいであって欲しいモノです。
まあ、これは物語とは関係ありませんが...


最後、蓮実は逮捕され、証拠のボイスレコードを聴かされた瞬間からおかしな言葉を口走り始め、精神異常による責任能力のなさを勝ち取るための演技を始めているのだと分かりますが、続編はありますかね?

裁判の様子、仮に無罪を勝ち取った場合、その後の物語など、興味がつきません。


何で、このミステリーがすごい!で大賞に選ばれているかはよく分かりませんが...
これってミステリー?
何が謎なのって?

2013/10/28


採点:★★★★★









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