本文へスキップ

「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

Since 2012.01.22

出口のない海横山秀夫

横山秀夫氏の「出口のない海」を読みました。

何作か氏の作品を読んでいますが、その文章力の強さというか、人間を描く力というか、ずしーんとくる作品達に圧倒されますので、読む際には覚悟が入りますが、外れはないかと。


出口のない海 (講談社文庫)

新品価格
¥620から
(2013/7/7 17:44時点)



この作品に対して予備知識はありませんでしたが、横山秀夫氏の作品と言うことで読んでみようと。

読んで見ると海軍の特攻隊、人間魚雷「回天」の物語でした。

私は戦争や軍事物についてよく知らないのですし、いろんな議論があり、何かを読めば自分の意見も形成されてきて、更に正確な情報が欲しくなりいろいろな角度から色々なものを読まなければならなって、正直言って面倒くさくなりそうな予感がするので、この手の物は避けていたのですが、最近、少しずつ向き合うようになってきました。


回天は人間魚雷の名前通り、魚雷に直接人間が乗り操縦して目標物に向かって決死で突っ込むというとてつもない兵器です。
劣勢だった日本としては特攻隊と同様に考え出された苦肉の策ですが、この兵器に乗ることになった兵士達の気持ちとはいかほどのものだったのか?
必ず死ぬと分かっていて出兵し、生きて帰還すれば卑怯者として仲間から罵られるなんて。

物語の主人公はA大野球部の元エースの並木。

甲子園ではエースとして母校を優勝に導き、引く手あまただった進路も大学野球では最下位のA大に入って活躍を期待されていたのに怪我に泣かされ、それでも諦めず再起を目指していた並木が戦争に行き、回天で死んだ。

彼はどう死んだのか?

また、なぜ死んだのか?

死ぬに当たり、何を考えていたのか?
どのように回天を受け入れていたのか?

戦争をどう思っていたのか?

彼らにとって国のために死ぬと言うことはどういうことだったのか?
覚悟は決められていたのか?
ホントに国のためをと思って死んでいったのか?

並木と野球部の仲間達、陸上部の北との友情や青春、戦争を通して、これらが赤裸々に描かれていきます。


全く、戦時下の異常な精神状況というか、今では考えられないような状況が改めて胸を劈きます。

靖国参拝反対なんて、こんな思いをして、国のために死んでいった先人達のことを考えると決して言えない気はしますが...もちろん、戦争は賛成ではなく反対で。

他国や超左派の人たちにしてみると、靖国参拝=戦争肯定になるんですかね?
戦争で国のためと、自分の大切な家族や恋人のためと信じて自らの命を犠牲にしていった人たちに手を合わせて、感謝の心を表し、冥福を祈ることが何故いけないのか?

外国が嫌な顔をするのだから、その気持ちは心の中にしまっておいて、わざわざ刺激する必要は無いだろうという議論も分かりますが、私もどちらかと言えばそういうタイプの人間だと思いますが、それは臭いものに蓋をするという対処に過ぎないと思います。

私たちが靖国参拝し、手を合わせるのは上記のような命を捧げた人たちに対する感謝であり、戦争は決して賛成していないんだと言うことをちゃんと説明するべきなんだと思います。
異文化に関する学問などで国や文化が違っていても、風習や習慣などの違いを超えて人間としての根幹に関わる価値観は共通であるということを考えると、これらの価値観というのも理解してもらえるのではないかと思うのですが...
理解してもらうためには何回も何回も誠意を持って説明しなければならず、大変だとは思いますが。


あと、中韓は日本の総理大臣が靖国神社に参拝するとすごく講義をしますが、この真意は何なんでしょうか?

自国内の求心力を高めるための政治的なパフォーマンスなのか?
文句を言わなければ、それぞれの(右寄りの)国民たちからの批判が大変になるからなのか?

日本がかつての戦争や帝国主義を反省しておらず、また軍国主義に走ると本気で心配しているのか?
そんなこと無いと思いますが...

まあ、嫌だ嫌だと言っているのに、それでも参拝する日本に腹が立つんでしょうね?

完全に相互理解不足だと思いますが、いつまで経っても解決しないでしょうね。
この問題を解決するよりも政治利用していた方が良いのでしょうから。

話が逸れてしまいました。


いつもながら横山秀夫氏の作品は力強く、読み応えがありますので心が動かされます。

2013.07.05


採点:★★★★









おすすめ購入先


   ネットオフ  おすすめ!
   価格競争力が抜群!愛用のサイトでいつもまとめ買いしています。Tポイントも使えます。

   アマゾン
   品揃えは抜群!本だけでなくCD・DVD・日用品・家電・おもちゃと品揃え抜群。送料無料も魅力!

   紀伊國屋書店
   紀伊國屋書店のオンラインショップ。紀伊國屋ポイントをお持ちの方におすすめ。