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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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アメーバ経営稲盛和夫


京セラやKDDの創始者である、日本を代表する実業家の稲盛和夫氏ですが、経営破綻したJALを見事に短期間で再生させたことでその名声は一気に高まったと思います。

以前からJALの多角経営による収益力の悪化や社内の組合との関係など、問題点は多く指摘されていましたが、カネボウの伊藤会長も「ペンタゴン経営手法?」で再生に乗り出しましたが、失意の中で更迭されたなんて話しも聞いたことがあります。

言葉は悪いですが、JALの腐敗のひどさとその再生の難しさは折り紙付だっただけに、どのように再生を成功させたのか非常に興味深く読みました。


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アメーバ経営の手法の細かい内容は本に書いてあるので、詳しく書き直す必要はないと思いますが、収益を自己完結で管理できる単位まで細分化し、その中で時間当たりの付加価値を最大にするように管理していくというのがその経営手法の様です。

なにやら俄に我が社でもKPIとして時間当たり付加価値を管理しようとしている経営トップがいます。
細かいところで、労務費を入れないなど、管理の仕方が違うところもありますが...

ただ、これは管理手法というか仕掛けであり、アメーバ経営の神髄は社員の一人一人が主役となり、自らの携わる仕事の収益状況を把握し、主体的に収益改善に取り組むようにすることであったり、それぞれのアメーバのリーダーは経営者を育てるためのトレーニングであったりと、その目的の方が重要であると言うことを強調されていました。


現在、業務の一部として海外拠点などの収益状況やマネジメント状況を定期的に確認するような仕事に携わっていることもあり、非常に興味深く読みました。

収益体質を強くするためには過去の収益状況に対して、現在がどうなっているのか?それは何が変わっているのか?売り上げの収益構造が変わっているのか?生産性は向上しているのか?予算に対してはどうなのか?未達であればその原因は何か?上辺の事象だけでなくてしっかりと詳細まで原因を捉えることにより、初めて対策が打てる。なんてことを教わりながら仕事をしていますが、そういう観点からも非常に参考になりました。

会社全体のどんぶり勘定では見えない収益構造の変化などを、例えば製品別や製造課別、工程別などにまで細分化していくことによりその原因が見えるようになる経験を幾度かしました。
そして、同じ指標で捉えることにより、収益性であったり生産性の改善を正しく評価することが出来るようになるし、自主的に更なる改善に向かう仕組みが出来るのがよく分かります。


本書ではアメーバ経営の手法も結構細かく説明されていますが、それよりも、稲盛氏の経営思想というか、アメーバ経営によりpromoteしようとしている自主性であったり、自らの携わる仕事や製品の収益に対する敏感さなどを従業員に浸透させていくこと、収益に拘ってやりきる姿勢が必要なんだなと感じました。

創業の頃の氏の悩みや苦労も書かれており、その中から自身の信念と理想からアメーバ経営に至った経緯も書かれており、参考になったと言うか、興味深く読ませていただきました。

稲盛氏の著書は他にも読んでみたいなと思います。

2013.04.02


採点:★★★★









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