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宮崎アニメの暗号青井汎

青井汎氏による数々の宮崎アニメに隠された暗号を暴くエッセーということで「宮崎アニメの暗号」を読みました。

宮崎駿氏のアニメはそんなに特別好きと言うわけではありませんが、「となりのトトロ」と「千と千尋の神隠し」は結構好きです。

本書を書いた青木氏は聞いたことがありませんでしたが、会社員を続ける傍ら執筆活動もされているようです。


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内容ですが、各宮崎作品の世界観やキャラクターのモデルになっている物語や神話、思想などが紹介されていました。ただ、だから何って部分が多くて、イマイチな一冊でした。

となりのトトロはスペインの「ミツバチのささやき」という映画がモデルになっているそうです。ミツバチのささやきはなかなか有名な映画らしいです...私は見たことないし、聞いたこともないのですが。

両作品とも自然との関わりを描いているようですが、映画との違いが細かく指摘されています。
ですが、だから?って感じです。
その変更によって宮崎駿が何を考えていたのか?伝えたかったのか?などの意図、その結果がどうなのかのevaluationぐらいないと...
多少、宮崎駿の変更に際しての思想などが考察されていますが、いつも近視眼的な細かい観点からの見方で、作品全体を通しての話にならないのでイマイチ、どうでも良く感じます。

その他、ナウシカは魔女やジャンヌダルクなどを複合的にモデルにしたキャラクターであるとか、自然と人間の関わりを描こうとした物語で、その奥底に5行思想が横たわっている等が書かれていますが、これもまた、だから?って思っちゃうんですよね...

もののけ姫でも丁寧に五行思想との合致点、シシ神やエボシのモデル等々が蕩々と紹介されています。一番ページを使っているんじゃないですかね?
ここはページを割いて書いてあっただけあって、物語全体に横たわる五行思想と各キャラクターの役割、その相関関係がよく分かりました。もののけ姫はイマイチ物語として面白くなかったんですが、少し、深く物語を理解できたような気持ちになりました。

最後に千と千尋の物語ですが、これまでの宮崎作品との違いも指摘されています。しかし、青井氏自信があまり興味がなかったのか、さらっと終わってしまいます。ナウシカやもののけ姫で語り尽くして、特に目新しいものがなかったのかも知れませんが...

私自身は、この千と千尋の物語が一番好きです。
というのも、物語を見終わって、小さな頃はもっと土というか自然と近い生き方をしていて、さらに、自然のなかに神々を感じていたことを思い出させてくれました。
まさに本書を読んでいると、指摘している宮崎作品に共通するこの考え方が、一番素直に伝わってくる物語だと思います。

1冊かけて宮崎作品にほぼ共通している自然と人間との関わり方に関する思想などが紹介されていますが、ひとつのアニメ作品を見れば、だいたい感じられるんじゃないかと...
表面の物語を楽しむだけでなく、中に横たわっているこのような真情を感じることが大切だなんて書かれていますが、子供でも感じるんじゃないかと思いますよ...そうやって育っていくんでしょうから。


余談ですが、アメリカ版の千と千尋の物語は最後に台詞が足されており、物語の最初で引っ越しで新しい学校には行きたくないといじけていた千尋が、最後に母親に「明日から学校行ける?」と聞かれてI think I can handle it.と千尋の成長を表していました。

それを見たとき、物語の描きたいモノはそれじゃないだろう?アメリカで一般受けにするように足したんだろうな〜?と感じたものです。確かに千尋が物語を通して成長しているのは分かるのですが、最後にその台詞を足してしまうと、あまりにもそちらにフォーカスされてしまい、ちょっと違うなと感じたのを覚えています。

2013/2/24


採点:★★☆☆☆









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