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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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武士の家計簿磯田道史

映画化もされたベストセラー作品と言うことで名前だけは知っていたので、読んで見ようかと思い購入して見ました。

特に歴史や武士の暮らしぶりに興味があるというわけではありませんが、ヒット作品ということはそれなりに面白いのかなと思い読んで見ることにしました。


武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

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幕末から維新初期の加賀藩御算用者の猪山家の家計簿を通しての武士の暮らしぶりが描かれています。

武士は食わねど高楊枝なんて言葉も聞いたことがありますが、(下級)武士の暮らしぶりはそれほど楽ではなかったことが伺えます。それも、武士には重要な冠婚葬祭などの費用が嵩んでしまい、しかも、武士としてそれを削るわけにはいかないのでどんどん家計は苦しくなっていくという構図がよく分かります。更に、江戸での勤めとなると更に苦しくなる様子も手に取るように分かります。

主人公というか、この家計簿をつけていた猪山直之も借金が嵩み、このままでは家計が破綻すると危機感を抱き、財産を売却して財政の再建を図っています。
この辺りも武士の決して楽ではない暮らしぶりを生々しく知ることができます。

ただ、この家計簿からは類推するしかないような当時の武士の生活ぶりもかなり断定的に書かれていて、少し疑問に感じる部分も多々あります。磯山氏は他の文献などからその知識があり、その裏付けとしてこの家計簿に書かれている出来事が自信を強めているのだと思いますが、これだけを読んでいる私としては腑に落ちない感じが気持ち悪く、イマイチ信用がおけません。

基本的にはこの猪山家の家計簿とその中に書かれている親戚の暮らしぶり(借金や婚礼など)から、当時の下級武士の暮らしぶり、同じ階級での結婚が多い理由、維新後の官職に就けた武士とそれが叶わなかった武士の格差などが書かれています。
しかし、これだけから武士一般の話をされても説得力がありません。繰り返しになりますが、もちろん、ご本人は他の文献などから自信満々の知識なんだとは思いますが、読み手としては...
もう少し、書き方があるだろうと思いますが。

あと、武士から土地を取り上げた際にそれほど反発や混乱がなかった理由として、江戸時代の武士は直接領土を支配していたわけではなく、一応どの土地を与えられているかは知っているけど管理などはせずに、中央で集めた年貢を分けてもらうだけなので云々と展開されますが、これこそまさにこの家計簿からでは読み取れないかと。

と、よんでいて少し気になるところはあるのですが、下級武士の3代にわたる暮らしぶりや、家を守るために子供への教育の考え方、幕末〜維新にかけての武士の生活の変遷などがとてもリアリティーをもって感じることができました。

2012/12/13


採点:★★★☆☆









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