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「読書の時間」は備忘録として読書の感想や書評をまとめたサイトです。

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就活のバカヤロー石渡嶺司・大沢仁

非正規雇用者の派遣社員、契約社員、フリーターなどなど、
正社員との待遇差やひいては生活水準の差など、
その差は大きく、現代の日本経済が抱える大きな問題だと思います。

その発端ともなるべき就職活動。
その裏側というか企業、学生、大学、就職情報会社の本音が綴られているらしいので、
読んで見ることにしました。


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感想ですが、読み物としては面白かったというか、まあ、読んでも損はないけど、
数々の「茶番」と切り捨てる事柄について解決策が提示されていないので、
余り、役には立たないのではないかと思うのですが...

冒頭、企業の人事課、就職活動を行う学生、大学の就職課の人たちに向けて、
本書を読むことで現状の問題点を解決できるような仰々しい始まり方をしているが、
そんなことないと思います。
採用人事の本音なんか、ネットでいくらでも見られるし、
学生の質問だってネットに溢れているし、多眼的に回答が寄せられている。

本書の違いはまあ、書いている人が分かるぐらい。
誰が書いたか分からない内容よりは、ちょっとは信憑性があるかなってぐらい。


学歴差別やインターンシップの効果などが書かれていますが、
採る企業側だって、新卒でなければ全職での実績や業務内容で採用可否の参考にするわけだし、
受験が一つの成果だからしょうがないかと。

すばらしい才能や能力を持った人間でも、受験時には認識が甘く、
本書で言うところの2~3流大学にしか入れなかったとしても、
大学での成績や研究成果などから実績を積むことは可能だと思うのですが、
それすらなければ採る方としては何を持って採用したらいいんだろう...

企業も難関大学以外にもすばらしい人材はいるので、その出会いは求めているとあります。
そういう人たちは別に学歴差別されずに採用されているんでしょう。
ただ、現行の採用システムだと出会いにくいんでしょうねぇ~。

現在の就活を「気持ち悪い茶番」と断じ、その問題点や課題は浮き彫りにされていますが、
解決策が全くといって良いほど提示されていないのが気になります。
あえてそうしていないとの記述もありますが、批判だけならいくらでも出来ます。

そもそも、就職活動で失敗したらほぼ負け組み人生まっしぐら的な
日本の雇用形態のあり方が問題ではないかと思うのですが、
その点については触れられていないというか、問題が発散してしまうので、
あえて踏み込んでいないように見受けられます。

しかし、私が海外のビジネスの授業で印象的だったのは、
日本人の中でも終身雇用については否定的な見方が広がる中、
社員の忠誠心や長期的な利益や目的に軸足を置いて、
本質的な経営戦略をとることができるすばらしい雇用形態と習いました。
当然、課題はたくさんあるとの但し書きはありましたが。

私は日本での最大の問題は人事がしっかりとした人事の仕事の出来ない社会だと思います。
はっきり言えば、不要な人を解雇できない社会ということです。
外資系はするのでしょうが。

人事の仕事は大きく分けて1.hiring, 2.training, 3.retaining, 4.firingですが、
基本的に1と3しかされていない企業が多いのではないかと感じます。
2番はしているといっても、しょぼいセミナーや外部任せのセミナー、
もしくはOJTという名の昔ながらの見て覚えろ的な教育ばかりかと。

中々、企業で更にcompetenceを高めてくれるような体系だった教育のある
企業ってなかなかないんじゃないかな?と思います。
それに、教育などで成長させた社員が辞めていくことは損だと感じているフシがあるようで、
私の会社でも留学制度などを少し見直しをしたといっていました。
それは、でも能力に見合った報酬を与えていないってことだけだと思いますけど。

こういった企業文化の中では社員の流動性は低く、簡単に辞めさせたり、
転職できない環境の中では、新卒採用に力を入れるしかなく、
それが現在の姿なのではないでしょうか?

新卒の就職活動が過剰なほどの「気持ち悪い茶番」に見えるのは、
その段階でほぼ、将来が決まってしまうという現在の社会情勢が背景にあり、
ある程度、仕方のないことなのではないかと感じます。

もっと、Human Resourceの流動化が進んでいる社会であれば、
仮に大学卒業時には意識が薄かった人間でも、入った会社でじゃんじゃん活躍して
どんどんステップアップするのも可能かと。

現在の企業は、入ってからも学閥的な縛りがあったり、
中途とプロパーの壁も大きいような気がします。
これは、受験や就活に勝ってきたと思っている人間たちの
既得権益を守りたいという気持ちが反映されているように思えます。

私もホント、就職活動中は茶番とは言わないまでも「気持ち悪い」と感じていましたが、
多くの学生さんもそう思いながら進めているのでしょう。

本書を読んでも何も救われませんが...


採点:★★★☆☆









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