ドイツ Germany
マネジメント文化 2/2
ドイツの経営スタイルとしては、多くの訴訟は行いません。政府、労働組合、ビジネスコミュニティーのいずれも明確な損害や落ち度が無い限り訴訟を進めることはありません。
ドイツの多くの企業は大きな法務部は備えておりません。意見の相違については、会議の場やビールを飲みながら商工会議所や産業協会による打合せの場において、話し合いで解決されることが少なくありません。論争などはたいてい静かに内々に解決されます。
頻繁な法的手段への訴えはされる側より告訴する側により大きな問題があると受けとられます。このような背景のため、アメリカに比べて1/3の人口と1/3のGDPのドイツですが、弁護士の数は1/20しか存在しません。
ドイツ人の経営陣は製造、設計、システムなどの技術畑から多く迎えられていますが、近年は事務畑からも採用されるようになって来ました。
ドイツの経営陣は、スイスを除く他のヨーロッパの経営陣より多くの報酬を得ています。
しかしアメリカの同等レベルと比較すると2/3程度になります。これの大きな原因としては彼らはたいていの場合は同じ企業で定年まで働き、徐々に出世していくので明確な結果をすぐには求められないからです。
マネージャーたちはアメリカなどのそれとは違い、企業もしくは部署の毎期もしくは毎四半期ごとの結果や経過次第でキャリアの心配をする必要はありません。
ドイツの課税方法もまた経営を長期計画に誘導している原因のひとつです。ドイツの課税法は企業に多くの金額を維持することを許可しています。
ドイツの資本増加に対する課税は資産を6ヶ月以上、土地の場合は2年以上所有する際には課税対象より控除できるようになっています。
経営学はドイツでは独立した学問として捉えられていなかったため、80年代まではアメリカや日本でで見られるような経営工学などが学校で教えられていませんでした。ドイツでは経営を独立した学問として捉えることで、自己中心的な、短期的判断、お役所的対応、忠誠の低下、そして品質の低下を招くと考えられていました。
ドイツの大学ではビジネスの管理学(Betriebswirtschaft)に力を入れています。また、その一方では80年代に西ドイツでHochschule
fur Unternehmensfuhrungとthe European Business Schoolが、今までのドイツのマネージメント方式を覆すのではなくそれを強化するための大学として設立されました。
ドイツでは同僚同士が平等に権限や責任を持ち、全体での合意を求め、製品と品質至上の、輸出を意識した、転職を前提としない、長期間での計画をもとに経営を行います。
アメリカの成果主義とは違い革新的でなく積極的でもないため、変化をあまり受け入れないと考える人も多くいますが、実際には変化は起きますし起きています。変化は安定と最小限の変化のモットーの元に徐々に起こります。また、変化の一番の原因は多くの場合、海外での競争の激化があげられます。
ドイツ人の経営者もこの変化は時として遅すぎると疑問に感じることがありますが、現在の確立され利益を生み出すシステムを変化させていくことはとても大変で、経営者にとっても変化するべきなのか?またどうやってさせるのかを判断するのはとても難しい決断になります。