イギリスUK
商談 1/3
- 距離を置いての商談においては若年層の人間でも全く問題ありませんが、UKにおける顔を合せての商談では年配の交渉人を送り込むことが懸命な戦略です。
- UKのビジネスにおいて若輩者は能力がないと判断されているわけではありませんが、ビジネス文化においてはMBAを取得したとても優秀な若者でも簡単に信用しない風習が存在するためです。
- この傾向は製造業およびファイナンスセクターにおいては特に顕著です。これは、これらの経営者層には比較的限られた教育や資格しか持たずに、エントリーレベルから経験を積みたたき上げた人間が多いためです。
- イギリスでのビジネスマナーにおいて徐々に変化してきてはいますが、資格よりも経験を重要視する伝統が強く残っております。
- 従って年配の人間の方が英国のビジネス文化で重要視される経験や権威を持っていると判断されやすいので、交渉の場に送るには有効な戦略となります。
- イギリスはヨーロッパの他の国に比べると女性の就業率が高くなっていますが、業種によっては女性の管理職の割合が少ない傾向にあります。これは特に製造業において顕著です。
- もちろん性別による差別は違法ですが、ロンドンや大都市以外ではまだまだ男性優位の考え方を持った年配の男性に支配されている傾向にあります。
- 従って、女性の出張/駐在者の方は仕事相手よりの正当な評価および扱いを得るために、プロフェッショナルな仕草や担当分野への詳細の知識の提示を心がけ、控えめな服装を維持してください。
- また、このアドバイスはすべての有色人種にも同様に当てはまります。
- イギリスのビジネス文化においては、商談および決断に対しては客観的な事実および確かな証拠に基づいて行われます。この場において、お互いの関係や感情は判断基準として不適切であるとみなされます。
- 従って商談においては、適切な資料と十分な準備を心がけるようにしてください。また、名刺も十分持参するようにしてください。名刺は商談の終わりに交換されるのがイギリスのビジネス文化です。
- 会議や商談においては明確なアジェンダやスケジュールが欠けており、バタバタした状況で行われることが多くあります。これはイギリス人の民主的な伝統を尊重し誰でも個人の意見を発言できるビジネス文化によるところが大きいのですが、これが誤解を招く原因にもなっています。
- イギリスのビジネス文化ではチームワークを重要視する一方で、根本的には階級意識が強く残っています。多くの意見を取り入れ皆の同意を得ることを目指しますが、最終的な決定権は(必ずではないですが多くの場合は)最も上位の人間が、会議の議長であるなしに関わらず有します。
- しかしながら、このようなイギリスのビジネス文化における伝統的な縦の命令系統(chain of command)をもつ軍隊的な組織体系は、次第に時代遅れになりつつあります。
- 伝統的にイギリス人は権威に対しての強い忠誠を持ってきましたが、実際にはそのようなシステムを好んでいたわけではなく、現代の実社会においてはもっと流動的で個人個人を重要なチームメンバーの一員として尊重する風潮にあります。