ロシア Russia
特有ビジネス環境 1/3 ビジネスにおける問題への対処の仕方
一般的にはロシアのビジネス文化におけるビジネス上の問題への対処の仕方は、欧米でのそれとは異なります。
例えば、欧米人は問題を上司や同僚に明らかにするのはいくつかの対処策がある場合ですが、ロシアではまず問題をオープンにする傾向があります。
そのため、ロシア人のマネージャーは的確な解決方法がないままに問題について議論を行う傾向があり、この面において大きく欧米のマネージャーとはそのアプローチが異なります。
これが物語ることとしては、欧米の人間は一般的に解決策に集中して問題の解決に当りますが、ロシアのビジネス文化では解決方法は交渉や戦いの末にたどり着くものであると考えている傾向があるということです。
その結果として、ロシア人のマネージャーの議論やミーティングは割り当てられた予定時間を過ぎ、元々の議題から逸れることがしばしばあります。
これらは欧米や日本では的確でない対処の仕方であり、深刻な準備不足と受取られるかもしれませんが、これの良いところは異なる結果が出てきたとしても、容易に受け入れることができる体制になっているということです。
異なる条件下での業務と失敗に耐える能力
しばしば外国からの訪問者はロシア人が「We will try to finish the work on time (納期通りに終わるようトライします。)」や「Perhaps, it will work (おそらく上手くいくでしょう)」などと言うことがありますがその真意を理解するのに時間がかかります。
実際のところロシア人は、起こり得るポジティブな結果やそうでないものの可能性を示唆しているに過ぎません。
これらはロシア人(のビジネスパーソン)が常に変化する環境において働くことに慣れていることからの発言ともとることができます。
これらの変化への対応はロシアにおける区切りの時期から現在の生活において、特に欠かせないものになっています。
欧米のマネージャーは一般的に危機管理のために緊急の際のプランを持っていても、モラルの関係上それを公にはしませんが、ロシアでは異なります。
近隣諸国との数世紀にわたる戦争と、欧米諸国と比較して厳しい経済状況を耐えてきたために、ロシアのビジネス文化においては、ベストな結果を求めると同時に最悪の事態に対しても準備をしておくべきであるという考え方が定着しています。
この考え方は欧米のポジティブな結果を意識しながら挑戦し続ければ、よい結果になるはずだというポジティブな精神とは異なります。
失敗に対してのリアクションも異なります。
失敗が発覚した際に、欧米のビジネスパーソンはミーティングを開いたり、アクションプランを作成するなど積極的に対処する傾向があります。
しかし一方でロシア人は、既に最悪のシナリオを準備しているために、それらの事態が起きた場合には比較的簡単に受け入れる傾向があります。