フランス France
マネジメント文化 1/3
現在、フランス企業のアメリカ企業の買収に関する記事を紙面で見る機会が増えてきています。
つい最近では2社(Suez-Lyonnaise des Eaux と Vivendi)のどちらが北米の水道事業のマジョリティーを支配できるかの競争も行われました。その中で、SuezはCalgon CorptoとNalgo Chemical Co.を買収し、VivendiはCalifornia company US Filterを買収しました。
しかし、Rhone Poulenc Chimieが1987年にUnion Carbideを買収するまではフランス企業のアメリカ企業の買収はとても珍しいことでしたが、その後は20以上のフランス大企業が米国のビジネスに参入しています。
フランスにおいて経営学の分野で権威のあるHEC大学のGuillaume Franck教授による著書「Conquering the American Market」はフランス企業のマネジメント・スタイルを理解するのに参考になります。
本書は非常に細かな調査に基づいておりますが、それと同時に、様々な逸話も紹介されています。例えば、フランス企業よりアメリカ企業に赴任となった、技術力は持っているが人間を管理するスキルにかけたマネージャーの奮闘などが紹介されています。
アメリカの典型的な経営者はこういったマネージャーをライン管理者以上のポジションにつけることを拒否する傾向にあります。また、スタッフに対しての権限と責任を与えることも非常に躊躇します。
また、アメリカ人のマネージャーがフランスでの重要な役割を与えられるチャンスに、契約書がしっかりと準備されていないとの理由で辞退するということも起きました。
フランス企業の経営者は労働者側の立場に立った法律に慣れているので、1ページの概略のみを必要とし、それを当然と考えていますが、アメリカにおいて労働者は自らを自分自身で守る必要があります。会社との契約書がそのための最適な手段であり、そのためにすべての”i”にはしっかり点がうたれており、”t”は線が交差しているといったような非常に詳細までこだわります。
Guillaume Franck氏の著書はRhone Poulencでの経験以外にも様々な同様の話が紹介されています。
ひとつの成功の事例としてホテルチェーンのAccorが挙げられますが、最初は買収したホテルのMotel 6のマネージャーを信用して失敗を経験しています。
当初は四半期と年間での利益に対してのボーナスを設定しました。それによりアメリカ人のマネージャー達がいかに株主のためでなく、自らの収入のために努力しだしたかがFrank氏の著書では詳細に説明されています。
資本の投資はほとんど行われずに、ホテルのメンテナンスも大幅にカットされ、部屋の修復は行われなくなりましたし、実際に客室の清掃も行われなくなりました。その結果、街にMotel 6の蚤だらけの部屋しか選択肢がない時には、人々は車の中で寝る方を選ぶまでになり、ドラッグの売人のたまり場として有名になったほどでした。